本「ナイチンゲールの沈黙 上下」田口と白鳥コンビシリーズ [本]
「ナイチンゲールの沈黙 上下」 著者 海堂 尊
★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
眼の癌で入院している中学三年生の瑞人の父親がバラバラにされ殺される。
瑞人の父親は無職で虐待を繰り返し、瑞人の病気に対しても無関心の最低な男だった。父親を殺したのは自分だという瑞人。
それを支えようとする看護師、小夜。
小夜は病院随一の歌唱力を持つ。彼女の持つ能力とは。
同じ頃、有名な女性歌手が肝硬変のため緊急入院。
歌姫が二人シンクロするとき何かが…。
えーと、前作の方が良かったかも。
歌声に秘められたものがちょっと納得いかんかったし。
あと小児科に入院する幼い子供に胸が痛くて最初読めるかな…と不安になったわ。
あかんわ、子供の病気は。
凄惨な事件やのに犯人は…、それにばらばらに切断する意味もわからんかったしなぁ。
ちょっと不満かも。
田口先生と白鳥室長も活躍したんだかしてないんだか。
ただ主要な登場人物は今後の小説にも登場するらしく、それが楽しみだわ。
本「繋がれた明日」6年の服役後刑務所を出所した青年の運命は [本]
「繋がれた明日」 著者 真保 裕一
★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
19歳で喧嘩の末、ナイフで人を殺してしまい、六年間服役してきた中道隆太。
仮釈放が決まり新たな生活が始まった。
ところが隆太が殺人者であると書かれたビラが職場、アパートにばらまかれる。
一体誰が。
そして隆太は更正への道を辿れるのか。
いや~いろいろ考えさせられるお話しやった。
殺人ってのは絶対やっちゃいけない犯罪であって、それは殺すつもりがあろうがなかろうが関係なくだめ。
ただその後その犯人には生きる資格があるのか。
生きていれば楽しい事や笑いあう事もあるだろう。
でも殺されてしまった被害者は二度と笑うことはないのだ。
人を殺してしまった人間には幸せになる権利はないのか。
やっぱり殺人すべてをひとまとめにしては考えられないんだろうな。
それぞれの事情や殺す理由によっては、殺人者であっても生きて罪を償うという事もありうるのかも。
まぁ自分の身内が殺されたらそんな余裕ぶっこいてられないだろうけど。
人を殺してその罪をずっと胸に抱えて生きていくのは案外つらいものかもしれない。
それを罪だと感じる事ができる人間ならば。
その辺がわからんから難しいんだろうな。
人の考えてる事なんて本人しかわからないんだもん。
難しいお話だったけど、ラストはほんわり。
隆太はあきらかに恵まれてる犯罪者なんだと思うわ。
ただこのお話しを読んだからと言って刑務所から出てくる人に同情したり共感したりはできんな。
更生することはとっても大事だと思うし、その権利はあるとも思う。
それでも刑務所に入ったからもう罪は償った…とはならない気がするし。
被害者のことを考えたらね。
だから絶対に罪を犯しちゃいけないんだと思う。
と、色々考えさせられる小説でした。
本「老い蜂」老爺にストーカーされた恐怖… [本]
「老い蜂」 著者 櫛木 理宇
★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
アパートの部屋をどんどんとたたく老爺。
なぜずっと付きまとってくるのだろう。
警察に言っても「大目に見てあげてくださいよ、相手はお年寄りなんだから」と相手にされない。
この恐怖は男性にはわからない。
ある日突然現れた不気味な老人。
病んでいく女性。
そして事件が起こる…。
【少しネタバレします未読の方は注意】
ある日突然老人に付きまとわれる女性。
友人に相談しても、相手は老人だから…と恐怖をわかってもらえない。
確かに普通の男性にしたら、よぼよぼの老人なんて恐怖の対象にはならない。
簡単に力でねじ伏せられるんだから。
でも女性にしたら…。
気持ち悪さと、何をするかわからない不安、いくら老人とはいえ力で勝てるとも限らない。
これは怖いわ。。。
普通にストーカーに追われるのももちろん怖い。
けど老人にストーカーされるのも怖いよ、絶対。
目的がわからんし、もし性的目的があるなら気持ち悪さの極致だもんな。
通常、高齢者には親切に…というエチケットが身についてると思う。
席を譲るのもそうだし、困っていたら助ける…みたいな。
お年寄りに強い態度で出られる人は女性には少ないんちゃうかな。
そこに付け込まれて付きまとわれたら…。
最初、老人のストーカーから始まる。
女性の恐怖はわが身に起きたら…と置き換えてしまうからほんとに怖い。
そこから、だんだん20年前の女性連続殺人事件へと繋がっていく。
謎ばかりの序盤。
そして途中で、老人の目的がわかる。
そこまでは理解できるし、確かにそうなってもおかしくはない…とも思える。
実際に憎んだ相手ではなく、その子供や孫に嫌がらせするのは巧妙だとは思うけど。
どんどんつながりが判明していき、犯人も判明したかに思えるんだけど…。
途中まではほんとに翻弄されたわ。
この人とこの人の繋がりって??とか、じゃなぜここでこんなことが起こったのか?とか少しずつわかってくるんだけど、それがまた一筋縄ではいかないというか。
ストーカー犯罪の話かと思ったら、それも絡めて復讐劇へと変わっていく。
誰が誰に復讐するのか。。。
犯罪被害者の家族の苦悩が描かれている。
被害者は犯人が逮捕されたあともずっと苦しむ。
ましてや、その犯人が数年経って普通に外にでて暮らしてたら…。
たまらないやろな。。
犯罪関係者は、それが加害者側であっても被害者側であっても苦しむことになるってことやね。
なんか、可哀そうだ…と思う人たちがいっぱい出てくる。
もちろん、自業自得やろ…みたいな人もいるけど。
苦しみはわかるし、復讐したいという気持ちもわかるな…と思いながら読んでた。
しかし!!!
ラスト!!!!
いやいやいやいや私には納得いかんわ。
お前がやってたんかい!!!みたいな。
お前が復讐するのは違うやろ!!!みたいな。
そもそも、あんな人間が復讐するか??と疑問がわいたわ。
そこまで愛情持ってたんか?
なんか違和感だったし、納得いかない犯人でした・・。
ただ、姉を殺された刑事さんの話はすっきり。
ここは読後感良かったわ。
あ~良かったと嬉しかった。
けど導入からずっと引き込まれたし、どきどきはらはらしたので面白い小説です。
もしかしたら犯人も理解力のない私だから納得できんのであって、他の人ならなるほどって思ったのかも。。。
もし、そうならすみません(作家さんとみんなに)。
犯人以外はほんっとに面白かったので、読んでみてください。
一体誰?なぜ?とか繋がりとか全然わからなかったので。
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本「恋の予感がかけぬけて」ネットが結ぶラブストーリー3篇 [本]
「恋の予感がかけぬけて」 著者 エリン・マッカーシー
★★☆☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
インターネットが結ぶラブストーリー3篇。
リアル恋愛が下手でネット上でバーチャルセックスを楽しむキンドラ。
ところが憧れの男性マックにそのメールを読まれてしまった。
「現実のセックスの方がずっと楽しい事を僕が証明してみせよう」
彼が驚くべき提案をしてきた。
お互い意識をしているのに興味のないふりをするキャンディとジャレット。
二人は上司からオンラインカウンセリングを受けるよう命令される。
ケイタリング会社を経営するハリーは、ある日ハッカーのいたずらによって裸の写真を掲載されてしまう。
コラージュなのだが彼女の裸だと誤解され…。
えーと。これラブストーリーじゃないです。
官能小説です。3篇ともセックスシーンのみです。
女性の書くHシーンというのはやはり興奮するね。
女性の気持をわかってるからねぇ。
男性諸君にはこれを読んで勉強してもらいたいものですわ。
女性を楽しませ満足させることに悦びを感じる男って日本には少ない気がする。
自分が満足することに必死で、それでも女性は充足していると勘違いしてる男がいかに多いか…。
Hは入れて出して終わりじゃないんやけどね。
いや、別に私もそない経験豊富ちゃうけども。
本「面白南極料理人」映画化原作。南極での食事とは? [本]
「面白南極料理人」 著者 西村 淳
★★★★☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
第38次越冬隊として南極にて生活した作者のノンフィクション。
海上保安官である著者は調理人として参加。
昭和基地から1000Km離れたドーム基地にて一年を過ごすことになる。
そこは平均気温-57℃、標高3800m酸素が少なくウイルスさえも生存できない過酷な状況の中、二回目の南極生活を楽しむべく面白くそして苦しい暮らしを日々つづる。
面白かった!想像すらできない極寒の地の生活。
まぁトイレが水洗じゃない時点で私にはむり。
大体気温がマイナスっつーのがもうむり。
しかし南極ではよほど乏しい食料事情なんだろうと思ってたけど、その点は違っててびっくり。
6kgで20万円もする米沢牛を食べてたり、蟹づくしだったりフォアグラだったり…。
まぁ食事しか楽しみがない状況なんだろうしそれがなきゃ誰も行かないかもね。
書かれたメニュー見てるとほんと食べたくなる。
でも食べるために南極に行かないとあかんならいらんけど。
全然知らない生活をかいま見る事ができて楽しかった。
一生行くことはないだろう不毛な土地の出来事を快適な環境から読むほど楽しめるもんはないかも。
ユーモアたっぷりで豪気で余裕たっぷりでめんどくさがりの著者に好感度大。
そしてこの小説読むとお腹空きます。
この作者さんの著作は「身近なもので生き延びろ」も読んでます。
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