舞台「ハンドレッドノート~暗闇に消えた月」100人の探偵チームが犯罪を暴く [舞台]
舞台「ハンドレッドノート~暗闇に消えた月」 2024年10月
★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)
出演 ホークアイズ…仁(持田悠生) パロットピーク…彩(砂川脩弥) 福澤侑 他
東京 品川クラブEX
近未来。犯罪が多発し警察だけでは処理しきれなくなる。
そこでネストと呼ばれる組織を作る。
頭脳で選ばれた100人の探偵をハウスと呼ばれるチームにわけ犯罪を検挙していくことになる。
一人の名探偵と二人の記録者による3人チームがハウス。
その中の21番目に優秀なチーム、ホークアイズに事件の依頼が来る。
舞台の最中に役者が殺されその容疑者には同じネストのパロットピークというハウスチーム3人が上がっているというのだ。
真相を究明するため千里眼を持つ探偵、仁は仲間と共に現場へと向かう。
今回、配信で観劇。
もちろんゲストに最推しの立花裕大が出る回。
どんな出演になるのかどきどきしながら鑑賞。
舞台の内容については探偵ものというのだけ知っていた。
そして持田くんが主演というのも。
しょっぱなから歌とダンスがかっこいい。
いや、かっこよすぎるくらい。
福澤侑って俳優さんはすごいな。
動きがほんまにキレイ。
そして曲は廣野凌大。
キャッテリアで良い曲を作るのは知ってたし今回もやっぱりはずれないなぁと思ったわ。
舞台じたいは客との距離がめちゃ近いステージ構成。
クラブEXやからね。
それでも通路を使って客降りもあるしこれ観に行った方は幸せだろうなぁ。
舞台上で映像を使って表現されることが多かった。
大道具を使わず映像で見せるやり方はこれから主流になるんかなぁ。
炎だったりも映像でならできるもんねぇ。
設定をよく知らないまま観たけどわかりやすかった。
ネストという組織に所属する探偵たち100名。
その中でハウスと呼ばれる3人一組のチームがある。
これが探偵の数だけ100あるわけね。
持田くんの役は探偵の仁。彼は千里眼を持っている。
そのため見落としがちな小さな証拠も見逃さない。
容疑者となったのは同じネスト所属のパロットピークというハウスチーム。
彼らは元役者、元ダンサー、元アイドルということで舞台に駆り出されていたらしい。
その舞台の最中に主演の役者が殺されてしまう。
この役が福澤侑。
あまり出番はないけどめっちゃオーラのある役。
ホークアイズとパロットピークという二つのチームが事件に挑む。
まぁ犯人は一体誰なのか…という推理劇は面白かったかな。
一人一人に話を聞いて徐々に真実が明かされていく。
ゲストの推し、立花裕大。
いつどこで何役で出てくるのかとわくわくどきどき。
役は舞台監督の助手っぽい。
名前は立花裕大で。
もうね、ここはめっちゃ楽しいシーンだったわ。
最初に出てきたときは通路でスクワットするわ、舞台で腕立てするわ好き放題してた。
ビジュはやはり最高。
何かを探しているという立花。
でも何を探しているのかわからなくなっているという。
結局2分?3分?くらいではけていった。
次の出番はやはり探し物をしている立花。
自己紹介するんだけど、なぜか滑舌めっちゃ悪くて名前が聞き取れない(笑)
そして本物のプロフィールに沿って突っ込まれることに。
好きな食べ物:チーズバーガー
え?これほんとだっけ?好きな食べ物の一番がこれだっけ?
推しの好きな食べ物わからんわ(笑)
将来の夢:野性的な男になること
山に暮らして毛むくじゃらの筋肉むきむきになるらしい。
だから脱毛はしないんだって(笑)
趣味:植物
これはもう話したくて仕方ないからめっちゃしゃべってたね。
なんか役柄立花裕大だったけど、そのまんま素の立花裕大だった(笑)
もっちー(持田)は笑っちゃいけない役なのに笑ってしまってて、笑いながら近づく裕大くんにそこにいろ!とかもうしゃべるなとか言ってた。
推しがめっちゃ楽しそうだったわ。
忙しい最中どうやってセリフ覚えるんだろと思ってたけど素の立花裕大で良かったわけね。
あれは楽しかっただろうなぁ。
ゲストは日替わりなんだけど、他の人はどんな役で出ているんだろうか。
めっちゃ気になるわ。
一人一人違うんだろうか。。。
犯人を捜すというストーリーなので飽きずに楽しめる。
差し込まれるダンスもいいし。
これ、探偵役100人いる設定やから舞台としてはどんどん作れるね。
持田くん頑張ってたし続編あるといいね。
アフタートークで親目線で語ってた推しも最高だったな。
持田くんに、立派になって…って(笑)
キャッテリアでは下っ端扱いされてたけどこうやって堂々と主役張れるんだからすごいよね。
それだけキャッテリアが俳優としてすごい人たちばっか出てるからなんだけども。
今回は推しがゲストだったので配信購入したけど舞台って生で観る迫力が最高だから推しが出てなくても観に行きたいなぁとつくづく思った。
お金があれば!!
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舞台ミュージカル刀剣乱舞「参騎出陣~八百八町膝栗毛」堀川、山姥切、和泉守の3振り出陣 [舞台]
舞台「参騎出陣~八百八町膝栗毛」 2024年8月
★★★★★(個人評価 ★多めならおすすめ)
8/11~8/18 SkyシアターMBS
8/24~9/1 TACHIKAWA STAGE GARDEN
脚本・作詞 浅井さやか
演出 茅野イサム
音楽監督 YOSHIZUMI
出演者
堀川国広 阪本奨悟
和泉守兼定 有澤樟太郎
山姥切国広 加藤大悟
活気溢れる江戸時代後期の町に遠征してきた3振り。
そこで蔦屋重三郎と知り合い彼のお店を手伝うことに。
喜多川歌麿の絵が大人気だったが当の本人は悩んでいた。
また重三郎の店では瑣吉のちの曲亭馬琴が苦しみながら本を書いていた。
悩み苦しむ文化人たちと触れ合う3振りの行方は…
どんなお話になるのだろうとどきどき。
観てみれば…ひたすら3振りを楽しめるお話でしたな。
江おんすていじの話題も出てぎゃわーとなったわ。
南総里見八犬伝を書いた馬琴と知り合い生みの苦しみに悶える彼を支えようとする3振り。
江がやったすていじを兼さんが観たらしく「おもしろかったなぁ」と言ってて嬉しかった!!
それぞれが自分の得意なことで重三郎のお店を手伝うのも良かった。
堀川国広は丁寧できっちりした性格を生かしお店を手伝う。
兼さんは容姿を生かし舞台役者の代役を。
まんばちゃんは、綺麗な容姿のため歌麿のモデルに。
色々細かい設定が楽しくまんばちゃんが三味線弾いたり、兼さんの口上が聞けたりほんと面白かった。
まんばちゃんは別嬪さんだという認識が新たになってにまにましてしまったわ。
終始軽い感じの3振りだけどそれぞれがあの本丸で成長してきた…という姿が観れて満足。
今回堀川国広が極姿になっててびっくり。
これで兼さんと堀川の2振りが極めになったね。
今後誰が極めるのかも楽しみでしかない。
ストーリーは小説だったり絵だったり、芸術を生み出す人々の苦しみを描いている。
刺さる人にはめっちゃくちゃ刺さるストーリーなのでは?
彼らの重い気持ちに3振りは引きずられることはなく終始応援の形を崩さない。
彼らの将来を知っているから。
彼らが後世にまで引き継がれる芸術を作る上げることを知っているからだろうな。
あまりはらはらすることなく観れる舞台だけど、ところどころ以前のお話をにおわせていてそこもめっちゃ良かった。
まんばちゃんが「呪いのままにはしておけないからな」と言いつつ去る場面。
陸奥一蓮で、鶴丸が「約束は呪いだろうか」と主に聞くシーンがあった。
主は「約束は願いですよ」と答える。
このシーン好きだったなぁ。
これにまんばちゃんは答えてるんじゃないだろうかと勝手に思ってしまった。
まんばちゃんは「自分のやるべきことが見えた」ともつぶやく。
彼は辛い過去を乗り越えしっかり前を見ているんだとわかるシーン。
いいねぇ(涙)
今回少しもやっとするとしたら刀剣男士の出番が少ないんちゃいますの?ってこと。
劇中歌も江戸っ子たちが多いし。
もっと出ずっぱりにして欲しかった(贅沢)
刀剣男子が主役ではなくて江戸の人々が主役だったな。
それを手伝う男士たちというスタンスに感じてしまった。
もっと男士たちを中心に据えた物語にして欲しかったなぁ。。。。
いやそれ以外は面白かったんだけども。
今回の3振りって歌がめっちゃうまいやんか。
それならもっと歌わせてほしかった~。
2部は当然最高なんよ。
どの歌もいいし、それぞれの組み合わせで聞けたしソロも最高。
衣装も好き。
脱ぎ曲がなかったのはとてつもなく残念ではあったけども。
太鼓がなくてピアノやったのが要因やろか。
まんばちゃん、あまり脱がないからさ今回はしっかり脱いでくれるかと期待しちゃった。
3振りが推しのオタクたちはどうだったんだろうか。
楽しかったという感想は見たけど。
次の刀ミュは、音曲祭。
チケットがなかなか取れないけど頑張らなきゃな。
音曲祭だからいつもの祭とはまた違った構成なんだろうな。
寿みたいなら、男士たちの燕尾服がまた観れるんだろうか。
まだまだ刀ミュから目が離せない。
もうちょっとチケット取りやすくなればいいのに!!!!!!
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舞台「Clubドーシャ」キャッテリア第二弾。今度はドーシャのお話 [舞台]
Stray Cityシリーズ「Clubドーシャ」 2024年8月
★★★★★(個人評価 ★多めならおすすめ)
8/1~8/12 IMM THEATER
8/15~8/18 サンケイホールブリーゼ
脚本 かが屋
演出 末原拓馬(おぼんろ)
企画・プロデュース 荒牧慶彦
出演者
クロ 石川凌雅
ミケ 泰江和明
シャム 田中涼星
スコティッシュ 廣野凌大
ベンガル 福澤侑
ソマリ 持田悠生
ラガマフィン 立花裕大
ラグドール 荒牧慶彦
夜の町カブキマチ。
今日も猫のホストたちが煌びやかな世界で生きている。
Clubドーシャでは夜な夜な姫たちとホストたちの駆け引きが行われていた。
そんな時店の人気ホストであるスコティッシュがいきなり独立すると宣言する。
同期のシャムは驚き店を辞めさせないためにNo.1をどちらが取るか…を競うことになる。
去年は品川ステラボールまで観劇しに行ったけど、今年は大阪でも舞台をやってくれることになりめちゃくちゃ嬉しい。
東京行く費用だけで3公演は観れるもんね。
チケット取れないだろうと踏んでたくさん申し込んだら全公演当選。
まぁ嬉しい悲鳴っちゅーやつですね。
東京遠征をしないことを考えたら全然あり!!!!
てことで私の夏休みは全てClubドーシャに捧げました。
推しはラガマフィン役立花裕大さん。
ホストなんで白のキラキラスーツにふわふわ髪。
「永遠の夢に沈めてやろう」なんて言うわけですよ。
控えめに言って
最高!!!!!!
歌もダンスもあるし、笑いもあるし、日替わりシーンも盛沢山。
観劇しているオタクも声出し、シャンパンコールにパラパラ。
客降りが舞台中に二回あり、推したちが客席を歩きまわる。
推しが近くを通るたびに香るGUCCIのギルティ。
控えめに言っても
最高!!!!!!
色んな舞台観にいってるけどこの舞台ほんっとに本気でダントツで楽しい!
舞台上のキャストと客席が一体になって、本当にホストクラブで遊んでる雰囲気にしてくれる。
歌も良いしダンスも良い。
ま・じ・で!楽しいのよ。
日替わり要素もたくさんあるし毎日通っても飽きない。
実際、大阪公演は6公演毎日通った。
キャスト同士が仲良くて推しが今まで共演したことある方々ばかり。
なのでお互い遠慮もないし仲良しっぷりもわかってそれも良き!
楽しい楽しいって推しがいうのもわかる。
観てるほうもめっちゃ楽しいもん。
ちなみに日替わり要素の一つ
カテコで毎日一人が良いとこを見せてくれるんだけど
推しはY字開脚、ローラーブレード、ヨガポーズ
できっちり立花オタクたちに悲鳴をあげさせてくれました。
ストーリー的には独立しようとするスコといつも自分を殺し相手を尊重し支えるシャムの二匹の友情を描いてる。
それぞれの性格や生い立ちを見せ、そして自分を認めていない自分、引け目を感じてしまう自分、そういう自分自身を大事にできない二匹がいかにしてそれに気づき成長していくか…っていう。
特にシャムのように、相手を尊重するあまりに自分は二番手でいい…と一歩引いてしまう性格にシャム自身が納得していない感じがよく出てたな。
自分勝手に生きている奴がいつも得をしていて自分は損ばっかりだと叫ぶ。
世の中言ったもの勝ちなとこあるもんね。
それに対して店を出ていったシャムにミケがいう。
「自分のために生きられない奴は他人を守れない」
「優しさは自分がやりたくて気持ちよくなってるんだから損したってプラマイゼロ」
「これだけみんな心配してるのに、あなたは自分勝手だ」
相手のためだと動いていても、それは結局自分のためだというミケ。
自分勝手なのはシャムも同じ、だと。
なんかね、確かになぁと思うことが多かったわ。
どの行為も結局自己満足であるし、それを誰かのためだとか誰かのせいで…というのは違うよなぁと。
一方自分勝手の塊のようなスコ。
せっかく独立してもお金の遣い方がまずく破綻寸前。
どうして自分は普通のことができないのかと嘆く。
彼は彼で生きていくために苦労してきた過去を持ち、おそらく心はそのころから抜け出せてはいない。
自分勝手でなくては生きていけなかったスコ。
彼もまたシャムと同じく自分に自信がないからこそ裏返しで自信満々の態度を崩さなかった。
きっと内面ではまだ恐れている怖がっている自分を隠してる。
そして実はミケもこっそりこの物語で成長してる。
自分は後輩だからとずっと一歩引いて行動してるミケ。
でも本当は自分がもっと頑張れていたらシャムは店を出なくても良かったかも…と思ってる。
ラスト近くはそんな自分と決別して、Clubドーシャは自分が支える!という自覚をもった。
他のみんなは自分よりも上の相手だと決めつけ自分はこんなものだから…と諦めている部分があってでもそれを乗り越えて成長していく。
決して自分勝手であれ!ということではない。
支え合ってそれぞれが自己を高めていく姿が理想だということ。
一歩引いていては成長できない。
なんか考えていくと結構深いストーリーだったりするなぁ。
色んな個性豊かなホストたち。
彼らの抱える悩みや問題、そういうものが仲間がいることによって癒されてどんどん成長していく。
という感じかなぁ。わからんけど。
ストーリも良いしこれは観る価値あると思う。
といっても続きがあるかどうかはまた来年にならないとわからないけどね。
ぜひ!続けて欲しい!!!!
推しには出演し続けて欲しい。
大好きな俳優仲間たちと楽しんで素晴らしい舞台を作って欲しい!来年も!
第三弾待ってます!!
舞台「ミュージカル夜曲~ノクターン」何度も再演された名作をミュージカルに! [舞台]
舞台「ミュージカル夜曲~ノクターン」 2024年5月
★★★★★(個人評価 ★多めならおすすめ)
作 横内 謙介
演出 茅野イサム
上演台本・作詞 浅井さやか
音楽 YOSHIZUMI
出演 十五…立花裕大 ツトム…糸川耀士郎 虎清…長田光平 玉野尾…岡幸二郎 他
会場 品川ステラボール
放火魔ツトムが火をつけたのは廃園となった幼稚園。
その日は75年に一度のハレー彗星が接近する日。
そして焼け跡から現れ出たのは700年の眠りから目覚めた古武士だった。
1986年に[善人会議]にて上演されその後も様々なカンパニーに幾度となく上演された名作。
自らも出演経験のある茅野イサムがミュージカルとして再演。
一幕ではコメディチックな展開。
笑いがあちこちで起こる。
700年前の人々が現代によみがえったら…そして放火魔ツトムとの交流。
あれ、これコメディやったんかぁと思っていたら徐々に不穏な雰囲気に。。。。
放火魔ツトムは火をつけずにはいられない性癖を持つ。
今回は知り合った女の子にそそのかされ廃園となった幼稚園に火をつける。
すると焼け跡から武士が現れる。
その場所でずっと待っていた祈禱師が彼は700年前に悪霊の呪いにより眠りにつかされたと語る。
目覚めた武士は仕える殿、虎清のために悪霊を退治しなければならないというが、屋敷はなくなり殿の居場所もわからず途方にくれる。
ここら辺はまだコメディっぽくて、武士=十五がコーラ(のようなもの)を飲み干したり明るい雰囲気。
まぁ放火魔がいる時点で不穏なんだけれども。
舞台設定としては昭和の時代。
なのでギャグも昭和。
若い人はちょっとわからないかもしれない。
そのあと、虎清が夢中になっている黒百合と共に現れ、いいなずけがありながら黒百合という正体不明の女に心を奪われていることが明かされる。
その状態を憂う十五と祈祷師=白百。
そこへ悪霊が現れごちゃごちゃあって結局黒百合と別れさせることはできず、十五の母が虎清のいいなずけであるちよ姫を連れてくる。
虎清側陣営は黒百合は悪霊の手先だから別れるべき、と虎清を諭すけれど虎清はまったく聞き入れない。
あまりの執着ぶりに病的なもの狂気を感じる。
ここで十五の母、虎清を自分の乳で育てた乳母がちよ姫をなんとか虎清の嫁にしようとする。
まずここで、ん?となる虎清のセリフが放たれる。
虎清は乳母に対し本当の息子と同じように大事に育ててくれたね、とは言うもののそのあと、二人から蔑まれていたことを自分は知っていたのだと告白する。
うろたえる乳母。
この告白をしながら虎清はうっすら笑みを浮かべているのが怖い。
そして恨んではいないという。
他人は他人だからね、と。
なんの不自由もなく育ったであろう虎清の闇がここで顔を出す。
十五と乳兄弟として育ったものの、常に優秀な十五のそばで比べられて愛情も受けずに育ったのであろう虎清。
彼が黒百合に執着する理由がわかった気がする。
彼は愛情に飢えていた。
ありのままの自分を愛してくれる相手が黒百合だった。
情けなく勇気がなく優柔不断で国を治める器量などない自分を愛してくれる黒百合。
そりゃ執着するよなぁと。
終始虎清は黒百合にしがみつく。
黒百合が自分を殺そうとしてもまだ黒百合を放そうとはしない。
ここらへんの狂気じみた言動は彼の闇がどれほど深いかがうかがい知れる。
常に優しい笑みを浮かべている虎清。
自分の気持ちに蓋をし周囲からは国を治めることを強要される。
自分にはそんな度量はないと幼い頃から十五や乳母に言動の端々で伝えられてきたにちがいない。
自信が持てないのもその表れかと思った。
育ちが良いけれど、いや良いからこそとても自分勝手な人物ではある。
十五の気持ちや、世継ぎとしての責任等々全てを投げ出し周囲の事など考えもしない。
ただただ自分の感情のまま、愛してくれる黒百合だけを見ている。
彼のせいで十五は長年苦しんできたのだろうと考えられる。
放火魔のツトムは世の中から必要とされていないと感じている。
そのストレスを炎を操っている気になれる放火で発散している。
焼け跡から出てきた十五に関わるうちに自分も物語の一員として必要とされていると感じ、放火を止める決意をする。
ところが正義の味方だと信じていた十五が実は人を殺していたことを知り、再びマッチを手にすることとなる。
結局彼はラスト、自分はやっぱりどんな場所でも蚊帳の外なのだと諦める。
外から波瀾万丈の人生を眺めるだけ。
自分が主人公だと感じられるのは放火した時だけ。
彼もまた自分勝手な人間の一人。
十五が人を殺したとしり、それを責めるシーンがある。
正義の味方だと信じていたのに、人を殺しちゃだめだよ、と。
けれど彼もまた放火を楽しんでいるのだ。
人が死ぬかもしれない犯罪を犯しているのだと自覚していない。
放火をする時点で壊れているのだけれど十五を責める資格がないことにも気が付いていない。
一幕の終盤で虎清の闇があり、二幕でそれぞれの悪や闇が全て明かされる。
登場人物全てが自分勝手で二面性があり壊れているように見える。
この一幕と二幕の落差で感情がジェットコースターのように揺さぶられてしまう。
決してタイムワープしてきた武士のお話ではないし、悲恋のお話でもない。
放火魔が更生する話でもない。
すごい舞台。
どの人にも感情移入できない舞台。
どの人も闇を抱えている。
そして自分の事しか考えていない人物ばかり。
かろうじてストーリーテラーの役割である祈祷師の白百だけが普通なのかな。
彼はお話を進める役だと思うのでそれでいいのだろうね。
例えば黒百合。
彼女は玉野尾に命を助けられ虎清を誘惑する役目を与えられる。
しかし彼女は本当は男で、虎清のいいなずけであったちよ姫と不義密通を重ねていた。
ちよ姫の腕にはお揃いの入れ黒子まで。
でもその時ですら、いずれ虎清と結婚するのだろうと考えていたという。
つまり自分のモノにはならないとわかっていて何度も身体を重ね、刺青を入れたのだ。
なんて自分勝手なんだろう。
本当にちよ姫を愛していたのかも怪しいくらいの行動に思えてならない。
半面ちよ姫は本気で彼を愛していた。
虎清とは結婚しない他に愛した人がいると言ったことで十五に切り殺されてしまう。
他にもツトムを煽てて火をつけさせるさよ。
彼女はちよ姫の生まれ変わりなのだけれど、彼女もまた自分勝手。
放火をあおり、ツトムをあおり、自分の願いを叶える。
人の事など考えちゃいない。
主要な登場人物はみな自分の事しか考えていない。
舞台でこれほどリアルな人間像をファンタジーで見せられるとは思わなかった。
誰しも二面性があるし自分勝手なんだけどさ。
それを架空の舞台でまざまざと見せつけられるとは思わなかったわ。
舞台って夢の世界であってうっとりしたり泣いたり登場人物に感情移入して楽しむものかと思ってたから衝撃受けた。
そして最推しの演じる十五。
彼もまた幼い頃からの呪縛に囚われそのことに苦しんできたと思われる。
言葉遣いや母である乳母の言動から由緒正しき家柄であるとは思えない。
乳母が何度も黒百合のことを下賤な女だ、家柄が違うなどと罵るのだけれどおそらく乳母の家柄だって身分高いものとは思えない。
殿の乳母になれたのだからまぁそこそこの家なのかもしれないけど。
偶然同じ時に十五を生み、乳が出るというだけで乳母の役目を授かったのかもしれない。
そう思ってしまうほど、後半乳母は下品さを隠さない。
虎清に対する侮蔑の念を隠そうともしない。
まぬけの放蕩息子とまで言うからね。
仮にも自分が育てた若殿のことを。
そして息子の十五がどれほど優秀であるかを言い募る。
この考えで虎清を十五と共に育ててきたのであれば、そりゃ虎清は病むんじゃないだろうか。
そもそも家柄を重んじるわりに、ちよ姫を十五に殺させて、そのあと田舎娘をちよ姫に仕立てて結婚させようとしてたわけでね。
虎清をいかに軽んじてるかがここでもわかる。
どうせあのアホにはわからないだろう…と考えてたんだろうね。
そして息子である十五もまたこの母の虎清に対する嘲笑を見て育ってきた。
尊敬できない相手、自分よりも出来が悪い相手、生まれる前からのいいなずけを捨て正体のわからぬ女を追いかける相手を自分の主と呼び命をかけて尽くさなくてはならない。
せめて虎清がまだ殿としての自覚を持ち、家臣に対しそれなりの態度であれば良かったものを、虎清は何度も家を継ぐのは無理だから十五がやればいいなどと言う。
十五はブチ切れてお前ごときに施されたくないわ!欲しければ自分で兵を起こすわ!と叫ぶ。これが本音なんだろう。
一幕でも、虎清にむかって、「なぜあなたは雷となって空を切り裂く夢をみない!」などとどなる。
虎清の煮え切らない態度、主としての自覚がまったくない虎清に対して、虎として生まれてきたのにどうしてわざわざ子猫であろうとするのかとあまりのもどかしさに出たセリフだと思う。
これが自分だったら!獅子をも倒すと言われる自分だったら!という生まれの差への叫びでもあったのかもしれない。
十五にしたら自分のアイデンティティーが壊れてしまうのを長年必死で抑えていたのだと思う。
幼き頃から何度虎清を殺したいと思ったか…と苦悩をぶちまける十五。
彼もまた自分勝手な母と、自分勝手な虎清、その中で家臣として武士としての自分の存在意義に疑問を抱え生きてきたのだろう。
ツトムも虎清も十五も自分の存在意義、誰かに必要とされること、生きている意味を感じるために必死でもがいていたように思う。
けれどそれは他責では決してみつからないものなのだろうな。
観ていて苦しくなるお話だし、ラストもあまり救いが感じられない。
彼等はまた眠りにつくのだろう。
次のハレー彗星の時、そして火をつけられる日まで。
ツトムはこの物語の中に入ることはできない。
傍観者でいるしかない。
彼の孤独は決して癒されないのだ。
舞台のストーリーでこんなにも色々考えさせられたのは初めてだわ。
それぞれの裏側や抱えてきたものを想像してしまう。
本当のことはわからないけど私が感じたそれぞれの登場人物像を書き記してみた。
全員がまるでアテガキではないかと思うくらいのはまり役。
昔から上演されてきた舞台なんだからあり得ないのにね。
それほど役がぴったりだった。以下敬称略
病的な優しさと笑顔の虎清=長田光平。
孤独で病んでる放火魔ツトム=糸川耀士郎。
歌が凄まじい玉野尾=岡幸二郎。
狂気をはらんだ乳母=野口かおる。
男女を演じ分ける黒百合=大湖せしる。
もちろん他の方々もすべて役柄にぴったりだった。
そして最推しの十五役立花裕大。
カテコで何度も、不安を感じていたことを口にしていた。
彼はあまりそういうことを言わない。
普段楽しかった、しか言わない。
つらかったとか苦しかったとか絶対あるだろうに、楽しかったしか言わなかった彼が初めて不安だったことをみんなの前で告白したのが衝撃だった。
きっと茅野さんから選ばれたこと、周囲のベテラン勢、何度も上演されてきた舞台、その中での座長という重責。
自分にできるのかと不安だったという彼。
そうだよねぇ、そう思うよね。
でも役になりきり、一幕ではコミカルな演技を、二幕では鬼気迫る闇を見事に演じていた!
表情が全然違った。一幕と二幕では。
闇をさらけ出した二幕では、笑うことなく目を見開き表情を消しこの人もまた壊れているのだと演技で観客にわからせてきた。
歌も朗々と響く声、安定した音域で安心して聞くことができた。
マイクが壊れるハプニングにも動ずることなく生声を見事に会場に響かせていた。
あれ?マイク通してない??と一瞬わからないほどの声量だった。
彼の努力はきっと並大抵のものではなかったんじゃないかな。
プレッシャーに打ち勝ち舞台を成功へと導いた経験はきっと彼を大きく成長させたんだろうな。
今後の彼の活躍にも期待しかない。
ああ~まだまだ言いたいことあるわ。
なんかとりとめもなく思ったことを書き殴ったので読みにくいです。
すみません。
あまりに興奮して素晴らしい舞台すぎて書かずにはいられなかったので。
舞台「桃源暗鬼」漫画原作を舞台化。鬼と桃太郎の末裔が火花を散らす [舞台]
舞台「桃源暗鬼」 2024年2月
原作 漆原侑来 週刊少年チャンピオン連載「桃源暗鬼」
脚本・演出 松崎史也
無駄野無人 立花裕大
皇后崎迅 高橋怜也
遊摺部従児 廣野凌大 他
大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
父が桃太郎機関に殺され自分が鬼の末裔であると知った一ノ瀬四季。
彼は鬼の血を操るために無駄野無人に誘われ鬼の学園へと入学する。
そこには他にも鬼の血を引いたものたちが集まっていた。
この舞台があると知ってから桃源暗鬼の原作漫画を読んだ。
ふむふむ血を操って桃太郎と戦うのね、鬼側が主人公だからどうしても鬼に感情移入しちゃうよなぁ。
途中まで読んで大体のあらすじを掴んだうえで舞台鑑賞。
一体どうやってあの血の武器を舞台上で表現するのかと興味津々。
いや~すごいね。映像と実際の小道具でうまく表現してた。
なんつーか最近は舞台も色々な表現方法があるね。
それぞれの正義がある。
桃太郎側には桃太郎側の鬼側には鬼側の。
それぞれ長い戦いの間に両親を殺されたり大事な人を殺されたりして相手側に対し復讐の念を抱くようになる。
相手をせん滅せねばならないというその一心で戦く双方。
なんとかならんもんかと考えながら観てたけどさ、これ難しいよね。
それを止めるためには鬼に同情せず全て皆殺しにしなければ…と桃太郎側は考える。
鬼は平和に暮らしたいのだけれど桃太郎が襲ってくるから対峙しなければいけない。
じゃないと殺されるからね。
これはもうほんと平和への道ってなかなか考えられないよね。
鬼の血をしっかり平定できればいいんだろうけど。
信用できないよね、そりゃ。
なら桃太郎側に引き寄せられるかといえばやっぱり鬼側に同情してしまう。
見る側によって正義は変わってくる。
どちらが正しいか…それぞれが自分の正義を元に相手を殺す。
なんか哀しい気持ちが…。
特に!!推しの立花裕大!
二次元から出てきたそのまんま。
無表情で強くて無駄を嫌うために常にローラーブレードで移動。
あの狭い舞台でローラーブレードて!
よほどの運動神経、体幹じゃないと無理じゃない?
それを軽々とこなす推し。
しかも動きながらセリフや殺陣をやる。
天才か!!
立花裕大はアイスホッケー経験者なのでもともとスケートは得意。
でもローラーブレードとは全然違うのでやっぱり練習したらしい。
いや、短期間であれだけ滑れるものなの?
その動きにもううっとりしたわ。
お顔も当然顔面国宝だけあって無駄野先生そのまんまだし。
普段、わりに明るいキャラが多いし本人もくしゃくしゃの笑顔で笑う人。
それが舞台でずっとずっと無表情はきつかっただろうな。
しかも隣で廣野が笑わせよう笑わせようとしてくるし。
カテコでようやく笑顔観れるけどそれもにやり程度だし。
役柄に入ってるんやねぇ。
すごかった。結構熱い役なので感情爆発させるシーンが多かった。
のどがつぶれるんじゃないかと心配になるほど。
なんかぴったりだったなぁ、一ノ瀬四季に。
単純だけど熱くて情に厚い男。
似合ってた。
俳優さんてすごいね。
ストーリーも動きも舞台上の表現も飽きさせないし、観た後も考えさせられるし面白い舞台だった。
推しが出てなくても観たくなる感じ。
映画になってもいいよね、これ。
大阪で観劇できたのもすんごく嬉しかった。
やっぱり東京だけってのが多いから。
関西に住んでると遠征代だけで3公演分はかかるもんなぁ。
東京に住みたい。