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本「暗黒学校 下」学校に閉じ込められた生徒たち!お互い疑心暗鬼に… [本]

「暗黒学校 下」 著者 二宮 敦人



★★★★☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)



突然学校の周囲を黒い岩が覆いつくし、中に閉じ込められてしまった10人。
食料の確保、地下水の処理等々それぞれが役割分担をし、ルール通りに行動しようとする。
しかし徐々にお互いを疑いだし、信じられなくなっていく。
果たして彼らは生き延びることができるのか。



 


暗黒学校〈下〉 (アルファポリス文庫)

暗黒学校〈下〉 (アルファポリス文庫)

  • 出版社/メーカー: アルファポリス
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: 文庫

上巻では閉じ込められた生徒たちの中から力でみんなを従わせようとするものが現れる。
力を合わせて暴力を封じ込めた彼らだったが、一人の女子生徒が包丁を持ち出し怪しい行動にでる、といったところで終了。


下巻はまず、怪しい行動をする女子生徒を警戒しつつ校内を捜索するところから。
女子生徒は一人の男子生徒を人質にしており、彼の救出を目指す。



ところが、その女子生徒は実はみんなを傷つけるつもりはなく、このすべてが自分が呪いをかけてしまったせいだと罪悪感からの行動だったのだ。
それを聞いた男子生徒(人質になったと思われている)は、みんなの誤解を解こうとする。



でもみんなもう聞こうとしないんだよね。
いくら誤解だといい募ってももうだめ。一度思い込んでしまったら理解しようともしない。
結局、誤解を解くことはできず女子生徒は自分が死ねばこの世界から解放されると信じて階段から飛び降りてしまう。



負の連鎖。
誤解が誤解を生み、行動がそれをより確信へと導いてしまう。
閉鎖空間でみんなパニック状態なのもわかるけど、ここまで人を疑うようになるんだろうか。
平穏な世界ではみんな温厚な性格。
何もかも与えられ余裕のある生活の中では。



しかしいったんその平穏が破られると本性が現れてしまう。
という感じ。



人質になった男子生徒(ユウタ)は絶望する。
誤解なのに。お互いが理解できないし、しようともしない。
お互いが別々の世界に住んでいるようだと落ち込む。
同じものを見ていても、それぞれがまったく違う見方をしている。
ユウタが見ている女子生徒(呪いをかけたと罪悪感から飛び降りた子)と、みんなが見ている女子生徒はまったく違うのだ。



分かり合えてるなんて、所詮絵空事で、本当は誰一人理解しあえていない。
もう絆は崩壊してしまった。いや、最初から絆なんてなかったのではないか。



このどうしようもない気持ちはわかる気がするな。。。
確かに同じことを考えているようでも、本当は全く違う考えを持っているってことあるもん。
いくら仲良しでも、いつも同じように感じるとは限らない。
ある人から見たらとっても親切な人、でも違う人から見たら腹黒い人に思える、なんてあり得るからね。



食料は、食堂、売店、非常用備蓄などで結構量は見つかった。
そして飲料水も自動販売機等でそこまで少なくない。
本当なら、そこでみんな協力しあって少しでも長く生き延び、救助を待とう…とならないものかね。
なんでみんな他人を疑うんだろ。


暗黒学校 下.jfif



この状況を異常だと言い出し、これは誰かの陰謀でこの中に主催者側の人間がいるはず!と言い出すものが出てくる。
そしてユウタがその犯人だと疑われてしまう。
いくら否定しても疑いは晴れない。
そこでユウタが決断したことは。。。。



ユウタは自分が犠牲になり、みんなが一致団結して生き延びてくれたら…と願う。
けれどその結果は…。



ラスト…なんかもう心がもやもやして気持ち悪い感じになった。



いや、いいのよ、このラストは受け入れられるラスト。
それでもさ~。
もうちょっとなんとかならんかったのかと。
教師の一人でも一緒に閉じ込められてたらなんとかなったのか、ならなかったのか。



なんか。
もやもやしてしまう。
こんな結末しかなかったのかな。
他にもありえたんじゃ?
閉じ込められた人たちの心情ってこんなもんなの?



生徒たち10人とも悪人ではない。
みんなきっと通常の学生生活では普通のいい子たちなんだと思う。
なのに猜疑心に蝕まれ対立しあい、お互いに理解しあえなくなっていく。



所詮人間なんて孤独なんだと言いたかったのかな、作者さん。
そう考えることもあるけど、でもやっぱり信じたいんだけどな。
確かに違う世界に住んでるな…と思えるような人もいるけど。



どうせ理解しあえないからと諦めてしまったらもう終わりだよね。
理解しようとする姿勢が大事なんじゃなかろうか。
自分の考えが絶対的真理だと思わず、違う意見も聞いてみる姿勢があるかどうか。
まぁ実際はむつかしいけどね。



これラストは読む人によって感想が変わるのだろうか。
私はもやもやもやもやして、哀しみと嫌な気分に襲われたわ。



レビューを探して読んでみよ。
想像していたラストとは違ったし、私的には意表を突かれたので面白かった。
少しのボタンの掛け違いでも、違う人間同士大きな亀裂になってしまうことがある。
わかったつもりにならないこと!だね。
同じ人間同士でも、やっぱりそれぞれ違うんだから。



なんか人間不信になるわ!!!
てことで、ほんとに面白いお話でした。
中高生向きの軽いホラーかと思って読み始めたけど、私的には色々考えさせられる小説でした。
大人にも中高生にもおすすめ!



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