本「首都直下地震<震度7>」震度7強の東京直下型地震が起こった!桁外れな被害が…。 [本]
「首都直下地震<震度7>」 著者 柘植 久慶
★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
東京湾北部を震源地とするマグニチュード8.1の地震が起こる…。
もともと地盤の弱かった地域の被害がどんどん拡大。
建物の倒壊、それによる火災。
おりから北風が強く吹き火災を広げていく。
湾岸沿いの土地は液状化により建物が傾いていく。
時間は18時過ぎ。道路は帰宅途中の車で渋滞していた。
ハンドルを取られた車は大事故を引き起こす。
東京直下型地震の恐ろしさに警鐘を鳴らす近未来ノベル。
ついこの前この作家さんの、「東京大津波」を読んだ。
ノンフィクションを読んでいるかのような小説だった。
どのようなことが起こるのか…を次々と説明していく形。
今回のお話だと、それよりは少し人間にも焦点を当てているので読んでいてのめり込みやすかったかな。
地震が起こったときに、それぞれの場所でそれぞれに起こったことをわかりやすく書いてくれている。
例えば、高層マンションに住んでいる夫婦。
旅行に来ていた韓国人夫婦。
東京駅近くの会社で被災した会社員。
自動車の整備工場を営むパキスタン人の家族。
アメリカから赴任してきているビジネスマン夫婦。
東京ディズニーランドに来ていた家族。
自宅近くのスーパーでパートをしている主婦。
日本に留学している中国人の女性。
地下鉄に乗り、友達の家に行く途中の男性たち。
等々それぞれに地震が起こったときの様子、その後の行動、を描いている。
これも行動によって明暗くっきり分かれていく。
生死を分けるものはほんの少しの決断だったり、行動だったりする。
地震が起こったときに、何処にいたのか。
それってめちゃくちゃ大事。
まぁ運でしかないんだけどさ。
あと、地震が起こった時間も被害に大きく影響する。
この小説では、北風が強く吹いている午後18時。
これは夕飯の支度をしている家が多い時間帯。
そして道路も通勤のため混雑している。
レストランで食事している人たちも多い。
子供たちは塾に行っていたりして、家族がばらばらになっていることが多い時間。
阪神大震災では早朝だった。
あまり火を使っていない時間帯だったにもかかわらず、火災は街を蹂躙していった。
これがちょうど炊事の時間だったらどうなるだろう。
当然あちこちで火事が起こる。
けれど道路が陥没したり割れていたり事故が起こっていたり、で消防車は出動できない。
火は燃え広がる。
なんて怖い…。
こんなの想像もしたくないほどの悲惨さ。
作者はこれをまるでドキュメンタリーのように克明に描き出す。
これね、東京に住んでる人が読んだら怖くて引っ越したくなるんちゃうかな。
私は東京にそこまで詳しくないし、土地勘がないから小説の中に書かれている区だったり街の位置関係がよくわからないまま読んでた。
でもこれ実際に住んでる人たちもいるし、自分たちのいる場所が地震には弱い土地だとわかっているだろうね。
実在の区の名前が出てくるし、どこが一番被害が大きいか、とかこっち側は被害が少ないとか、そういうのも詳しく書かれている。
東京の人がこの小説を読みたいか読みたくないか…。
なかなか微妙な問題かもしれん。
怖いよ、これは。
もう自分が生きている間に地震が来ませんようにと祈るしかできない。
埋立地が危ないのはわかるけど、川に挟まれた土地だとか、大昔海だった土地だとか、沼を埋め立てた土地だったり、そういうところから被害が大きく出てしまう。
ずっと首都圏直下型地震の危険性は叫ばれてきてた。
数十年以内に必ず起こる!とかね、。
きっとこれらの危険だと言われている街では対策が進んでいるのだと信じたい。
古い家々が狭い路地を挟んで密集している地域。
それらも防災や避難経路、耐震等々なんらかの措置が取られていることを願うわ。
この小説のとおりになりませんように。
あ、ひとつだけ、???と思ったこと。
これだけの大地震なのに津波が来なかったこと。
これは単純に地震小説にしたかったからかな。
大津波は別で書いてるし。
現実だと地震のあとは津波が来るんじゃないかとは思うけど、震源地が陸地だと来ないのかな?
そこらへんよくわかってない。
震源地が海だと津波は絶対くるよね。
あと、怖かったのは東京ディズニーランドも確かに埋立地だから液状化するよなぁってこと。
周囲に立っている大きなホテル群も、地盤沈下とかそういうのあるだろうな。。。
これもたまたま旅行に行ってて地震に遭うとか、運としかいいようがない。。。
誰も今地震が来たら…なんて考えてもいない。
東日本大震災が起こったとき、みんな災害に対し心構えが必要だと再認識したはず。
でも数年が経つとその思いはだんだん薄れてしまう。
阪神淡路大震災も同じ。
今はコロナで手一杯だけど、震災が起こらないとも限らないからね。
いつ来るかなんて正確に予知できないやろし。
自然災害が年々ひどくなっている気がする。
豪雨だって半端ない被害を与えている。
地震だっていつくるかわからない。
防災意識はとっても大事なんだなぁ。
非常用持ち出し袋もきちんと用意しておかないと。
小説の中の人物も車の中に非常用リュックを置いている人がいた。
その人たちは助かっていたな。
日ごろの準備って必須だと思った。
地震が起こるとたちまち物資の供給が止まってしまう。
コンビニでも食料や飲み物の奪い合いになってしまう。
日ごろからきちんと用意しておかないとね。
すぐ忘れてしまうんだけど。
だからこういう小説ってとっても大事だと思う。
ストーリー性はあまりないけど、シミュレーションだと思えばいい。
とってもわかりやすく、起こりうる事象、どの地域が危険なのか、が書いてある。
関東圏の方、読んでほしい。
怖いだろうけど。。。
いつか必ず来るであろう首都直下地震の準備のために!
それは明日かもしれないんだから。
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