本「屍人荘の殺人」大学生の夏の合宿といえば…殺人でしょう!!! [本]
「屍人荘の殺人」 著者 今村昌弘
★★★★☆(個人評価 ★多めならおすすめ)
神紅大学の葉村はミステリ愛好会の一員だ。ただし部員は二人だけ。葉村と明智だ。
明智は今年の夏は映画研究会が行う夏合宿に参加しようと躍起になる。
何か事件が起こることを期待してのことだ。
それには女子の参加が必須だと、同じ大学の美少女、剣崎から取引を持ち掛けられる。
剣崎と一緒なら参加可能だというのだ。
剣崎はリアルの事件を解決したこともある探偵少女だった。
そしてその合宿で事件は起こった。
まず先に映画から観たのは良かったのか悪かったのか。。
配役が頭にあるから、もう彼らでしか想像できなくなってる。
まぁ役柄に合ってるからいいちゃーいいんだけど。
ここから少し映画との違いを。。
剣崎と同じ主人公ともいえる葉村。
彼は映画では神木隆之介さんが演じているのだけど、とても可愛い役柄だった。
小説ではそこまで可愛げがあるかというとそうでもないような。
まぁこれは神木隆之介さんの演技にもよるのだろうけども。
映画のほうはコミカルさを押し出してるから余計に。
小説では葉村の過去も語られていて、映画の能天気さは影を潜めてる。
純情そうで真面目で、という点では同じだけど。
内容的には映画とほぼほぼ同じ。結末も。
ただ小説では肝試しの最中に事件が起こる。
映画ではロックフェスティバルに参加している最中。
小さな差異だけどね。
主要な登場人物の背景とか細かい点は小説のほうが詳しいね。
当たり前だけど。
人物の背景とか。
あと、映画では外部の人間もペンションに逃げ込んでくるんだけど、小説では合宿に参加した大学生やOB(+管理人)だけで話が進む。
ただ犯人の動機だったり、トリックだったりは映画も小説も同じ。
どちらが良かったかというと、どっちもよい!!!!
クローズドサークルというのが大好物でもあるし、なんせアレが出てくるから…。
ネタばれするか悩んだけど、やっぱりやめときます。
何も知らずに小説読んだり、映画観たりするほうが絶対面白いから。
どっちを先に…というのはお好みでとしかいいようがないけど、あえて言うなら小説からが良いかもしれない。
映像から見てしまうとそれで再生されるから、登場人物たちの差異に違和感が出てしまうかも。
大学生の夏合宿で、殺人事件が起こる。
他にも大事件が起こって、彼らはペンションに籠城せざるを得なくなる。
その中で殺人が起こるんだけど、その方法が奇抜です。
籠城せざるを得ないその理由のせいなんだけど、その理由をうまく利用した殺人。
映画の感想でも書いたんだけど、よくこんな突発的な出来事の中で殺人を犯せたなぁと変なとこで感心してしまう。犯人は頭の良い人なんだな、きっと。
映画では殺人の理由は身内の復讐なんだけど、小説では他人が犯人。
まぁ気持ち的には身内なんだろうけど、そこはちょっと解せない。
身内でもなく、他人のために殺人まで企てるだろうか…。
小説での犯人の復讐心に納得がいかなかったわ。
登場人物に魅力があるのもいいし、ストーリーも面白かったし、これはなかなかおすすめできるミステリーです。
映画も面白かったしね。
小説で書かれていた剣崎の背景も、葉村の背景も同情してしまう。
映画ではそこまで語られていなかったと思うんだけど。
葉村は震災の被害者。そこにトラウマがあるんだろうな。
剣崎は探偵ごっこが好きなわけではなく、事件を引き寄せる体質。
自分がまきこまれないために必死に推理し犯人を導きだしている。
そういった意味では、詳しく彼らの心情であったりを知ることができるから小説は必須な気がする。
映画では語られないからね。
総じて映画はコメディの要素が大きかったので、小説のほうはもっとミステリーの要素が濃いと思っていただけたらいいと思う。
作者の今村昌弘さんの作品をあと二冊買ってあるので楽しみに読みたいと思います。
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