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本「限界集落株式会社」過疎・高齢化・農業後継者、様々な問題に立ちむかい限界集落を再生できるのか?! [本]

ダウン私のお気に入りを載せてます。見に来てねダウン



「限界集落株式会社」
著者 黒野伸一

★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

独立するためIT企業を退職した多岐川。
しばらく休養するために訪れた、祖父が住んでいた村は過疎化が進んでいた。
滞在するうちに、高齢化、過疎化、後継者問題、公共施設が撤退し生活するにも不便で問題山積みなこの村をなんとか救おうと多岐川は立ち上がった。
農業を集約し法人化することで効率を上げ、農協を通さずに小売することで利益をあがようとするが…。

 


限界集落株式会社 (小学館文庫)

限界集落株式会社 (小学館文庫)

  • 作者: 黒野 伸一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/10/08
  • メディア: 文庫

山の上にある過疎化が進む村に、経営のプロである多岐川が訪れたことで村は生まれ変わろうとする。
高齢者ばかりの村で、若い働き盛りの者は村を出て行ってしまう。
村の人数が減ることで、郵便局がなくなり、麓からのバスも運行しなくなってしまう。
社会的な生活を送ることすら困難になっている村に住む老人たちは、仕方ないと諦めている。

少しだけ滞在するつもりだった多岐川だったが、村人たちと交流するうちに、この村を消えさせまいと立ち上がる。
まずは先祖代々ここに住んできた人々の理解が得られるかどうか…。
案の定、反対するものが出てくる。
それをどうやって説き伏せ一緒に村再生への意欲を持たせるのか…。

めちゃくちゃ興味深い内容だった。
確かにこういった後継者のいない村、高齢者ばかりの村が日本にはたくさんあって、そのほとんどが消えてしまう運命にあるというのは聞いたことがあった。

一体どうやってこの村を再生させるのか。
多岐川が行ったことは現実にも生かせるんじゃないかという気がした。
それほどリアルな感じ。

農協を通さず直接小売りすることで、消費者にも安く届けられるし良いことだらけ。
でも一体どうやってそのような販売ルートを見つけるのか。
無名の村が作った野菜をどこの誰が売ってくれるというのか…。

次々立ちはだかる難問に、多岐川は聡明な頭脳で立ちむかい、優秀な村人たちに助けられ、徐々に村は活気を取り戻していく。

途中、これはもうだめだ…というような問題も持ちあがるが、これもみんなの助けでぎりぎり解決への道を歩めるようになる。
決してとんとん拍子で上手く行ったわけではない。
少しずつ少しずつ問題をクリアにしながら進んでいった多岐川と村人たち。
都会の生活に敗れ、田舎に逃げてきた負け組の若者たち。
彼らは田舎に適応し、それぞれの得意分野で活躍し始める。
読んでいて爽快だし気持ちいい。
頑張れ!と彼らを応援したくなる。

今、畑を借り農業を楽しむ都会の人が増えている。
仕事を辞め、農業で生きて行こうとする人もいる。
軽い気持ちで農業ならできるか…と思って来た者たちは早々に挫折する。
けれど、後がない…と覚悟を決めてきたものたちは強い。
そしてそういう人たちを受け入れる懐の深さが田舎にはある。

農業ってやったこともないし、身近ではなかったけれど、この小説を読んでこういう生活もいいのかもなぁと思えるようになった。
苦労もわかったし、簡単なことでもないことも知ることができた。
そしてなにより、限界集落の問題は簡単に解決できることじゃないことも。

多岐川はその経営手腕で村を再生させていったけど、こう上手く行くかと言えば難しいだろうと思う。
村人全員が一丸とならないとできない事だし、それをよそ者が頭を突っ込んだとしても無理がある。

この小説は理想形なんだと思う。
過疎化した地域が優秀なリーダーの元、試行錯誤しながら頑張るその姿は感動するし、応援したくなる。
読んで元気になれる小説だと思う。
農業の抱える問題は根深く簡単に解決はできないけれど、それぞれの地域でそれぞれのやり方で考えて行動しないとあかんのだろうな。
それには若い力が当然必要となってくる。

今の政府だと、高齢者は切り捨て弱者も切り捨て、当然過疎化していく村を救おうなんて考えてもいない。
ていうか目にも留まってないだろう。
できればそういうところから政治家が現れ日本国内をもっとよく見て、問題点を解決しようとしてくれることを望むな。

弱者と呼ばれる者たちの逆転劇は読んでいて気持ちがいい。
問題を解決していく手腕にも目を見張る。
これからも問題は勃発するだろうけど、彼らならきっと解決していくんだろうなと思える。
日本の抱える問題の一つが知れたのも良かったし、その方法も面白かった。
決して絵空事でもなく、案外現実に即したリアルな解決方法だったともいえるし。
一体どうやって多岐川が村を過疎から救うのか…は読んでのお楽しみってことで。

この小説はなかなかおすすめです。
特に農業してる方は興味深く読めるんちゃうかな。
あと、定年退職したら田舎に住んで農業やりたい…と思ってる方とかね。


ルナ130.jpg

田舎も都会も違いがわからにゃい

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本「水曜は秘密の香り」毎週水曜日にだけ逢う名も知らぬ恋人。でもそれだけでは飽き足らなくなって…

\せめてガーデニングでも…/ [るんるん]














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