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映画「HANA-BI」娘を亡くし妻は不治の病…やくざからも追われる元刑事の行く末は [映画]

ダウン私のお気に入りを載せてます。見に来てねダウン



「HANA-BI」
1997年日本映画

★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

監督 北野武

出演者 北野武 岸本加世子  大杉漣  寺島進

刑事の西は幼い娘を亡くし、失意の妻は不治の病に侵されている。
妻の見舞いに行くため、同僚の堀部に張り込みを変わってもらうのだが、堀部は凶悪犯に撃たれ下半身不随になってしまう。
そして部下もまた犯人の銃弾によって殺されてしまう。
西は刑事を辞め、生活のためやくざに借金をするが返済できず、銀行強盗をしてお金をつくる。
堀部、そして死んだ部下の妻にお金を送り、自らは残ったお金で妻と旅に出る。
しかしやくざは執拗に西を追ってくる。
そして警察もまた…。


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  • 発売日: 2017/09/27
  • メディア: Blu-ray

 

今まで暴力的な北野作品を見てきたけど、これはなんだか違う感じ。

順番めちゃくちゃで観てるからなぁ。
ただこの映画はとにかくセリフが少ない。
ほとんどの登場人物がぼそぼそと話すくらいで、特に主人公の北野武はあんまりしゃべらない。
そして、あいまに挿入される素朴な絵。

北野武本人が描いたものらしいね。
繊細で、でも病んでそうな感じの絵。
劇中では、車いす生活になった堀部が描いているようになっている。
彼は、車椅子になって妻と子供に去られている。
睡眠薬を飲んで自殺を図るが命をとりとめている。

その堀部に対し、西は画材道具を送る。
そういったことに対してもお金が必要で、彼はやくざから借金をすることになる。
部下が死んだことで罪悪感を持っている西は死んだ部下の妻にもお金を送る。
銀行強盗をしたお金で。

もうね、北野映画の真骨頂というか、破滅に向かって主人公が突き進むのがもう観ててつらい。
ああこれはもうどうしようもないな、というね。
どの北野映画にも出てくる、死にたがってる男…そのもの。

投げやりとはちょっと違うな。
なんだろ、将来を考えない、今だけを生きてるという感じ。
今さえなんとかなればいい、あとのことはあとで考えるというか、最初から死を覚悟してるっていうか。

覚悟っていうのも違うな。
そこまでの決意とかじゃない。
生きててもしゃーないし、まぁやれるだけやったら終わりにすればいっか、みたいな。

悲壮感が感じられない。
でも映画が進むにつれて、いや、最初からかな、暗い未来しか見えない。

この感じが北野映画って思う。
登場人物が淡々と生きててどこか刹那的で、でもそれがかえってリアルで。
熱血で一生懸命生きてる姿って見てて気持ちいいけど、現実社会あまりないよね。
みんな嫌なことあるけど、それでも生きてて、なんか不幸とかいっぱいあるけど、しょうがねぇなぁって。
人生なんてそんなもんだろ…みたいな諦め感。

暴力的シーンもあるけど、マシ…かな。
殴られただけで血がどばーって出て、そのへんは誇張されてるのかなとも思うけど。

北野武という役者さんって普通の表情してるのに、なんか深い事考えてんのかなって思えるね。
いつ切れるかわからない怖さ、不良品の爆薬みたいな雰囲気。

「殺すぞこの野郎」「ふざけんなこの野郎」というセリフが比較的少ない。
それよりは、抽象的なシーンが多い。
ただただ絵が映し出されているシーン。
なんとなくエロいような、怖いような、不思議な絵。
一体何を現したかったのか私にはわからなかったわ。

足が動かなくなった堀部が描く絵として映されていたけど、一体何を表現してるのか。
動けなくなった自分、家族に捨てられた自分、を描いているとも思えないし。
花と動物が合体した絵のシーン、めちゃ長いけどなんなんだろな。
これが理解できればもっとこの映画の本質に気が付けたんだろうか。

ただ普通に夫婦で旅してるかと思えば、そこにやくざが乱入してきて、いきなり暴力シーンになる。
んで、また夫婦で旅館に泊まってたり。
んで、またやくざがやってきて、暴力シーンに。
この静と動の切り替えが気持ち良い。
他の北野映画、つってもそんなに見てないけど、もっと動きがあったように思う。

この映画はずいぶん大人しいし、セリフも少ないし、感情的になる人が誰もいないし、淡々としてる。
それがかえって怖さを感じさせるけど。

なんか不思議な映画やねぇ。
よくわからん。
結局ラストはああなるし。
まぁああなるよねぇ。
どうなるのかは書かないけども。

どうも北野映画はすべて「死」に向かってストーリーが進んでいく気がするけど、どの映画もそこまで暗くないし、人間があっさり死ぬし、そんなに鑑賞後がどよーんとはしない。
なぜかと考えたら、登場人物が生に対し貪欲じゃないからだろね。
生きたい生きたいと強く願っている人間が死ぬんじゃないから平気なのかも。

まず泣けないしね。
タイトルの花火っていうのが人生を表してるんかな。
ぱっと打ちあがってぱっと消える。

どんな人生を送ろうが最後はみんな死ぬ。
平等に。
人生は不公平だけど、死は平等。
死があるとわかってるから生きていられる…みたいな。


てことで、どうもこの映画は今まで観てきた北野映画(アウトレイジとか)とは違った感じでした。

好き嫌い別れるかも。
わたしは…うーん、やっぱりアウトレイジとかその男、凶暴につき、の方が好きかも。

ルナ129.jpg

北野映画は血が出るから嫌いにゃ

【本映画過去記事】
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映画「シコふんじゃった」本木雅弘主演の相撲コメディ。竹中直人他芸達者な俳優が多数出演。







 


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