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本「シッピング・ニュース」貧しい街で自分の人生を取り戻す男。 [本]

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「シッピング・ニュース」
 著者 E・アニー プルー

★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)

クオイルは今までずっと不幸な人生を歩んできた。
不器量で不器用で仕事にあぶれ父親からも見放され、妻になった女性は浮気性で性悪だった。
両親が借金を抱え自殺した事をきっかけに彼は二人の娘と唯一の親戚である叔母と一緒に先祖の地ニューファンドランドへと向かった。
そこは凍てつく寒さに覆われ厳しい気候にさらされた貧しい町だった。
そこには一族の名のついた岬があり先祖代々の古家があった。
クオイルはそこでシッピング(港湾)ニュースを担当する新聞記者として働く事になる。

シッピング・ニュース (集英社文庫)

シッピング・ニュース (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/02/20
  • メディア: 文庫

淡々と綴られる彼らの生活。厳しい自然状況。
かいまに見られるユーモア溢れ個性的な人々。
娘の精神状態を心配し、叔母の悲惨な過去をしり、
新たな恋を見つけクオイルはだんだんと自分の人生というものを取り戻していく。
シッピングニュース.png

悲惨で絶望的な状況であっても人間は生きていく。
娘を愛し、性悪女である妻をも愛し、クオイルの長所である愛情深さが随所に見られる。
それがいらいらさせられる箇所でもあるんだけど、こういう人生もありなんだな、と。
なにも華やかに表舞台に立つ人間ばかりじゃないんだし。私の人生だって華やかなとこはなんにもないけど、それなりに幸せもあったり、運が悪い事も良い事もあって人生は続いていく。

この小説には大きな事件はなにもないんだけど、その人なりの幸せというのはどこにでもあるんだと思ったわ。
なんちゅうーか普通の(普通より不幸かも)男が歩んだ普通の人生をニューファンドランドという厳しい土地にからめてただ淡々と描いただけの小説なのになぜかいろいろ考えさせられる話だったわ。
陰鬱な冬とか臭いとかリアルで映画を観ているかのような不思議な臨場感があった。
もしかすると映画の原作なのかな?


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