本「バベル」ウイルスの蔓延で感染者を隔離することに…果たしてうまくいくのか。 [本]
「バベル」 著者 福田 和代
★★☆☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
日本にある日突然広まったウイルス感染による新型脳炎。
バベルと名付けられたその脳炎は感染すると高い確率で言語中枢を壊され言葉が出なくなってしまう。
ウイルスが脳の一部を傷つけてしまい言語障害が残るという後遺症が高い確率で発現する。
一度感染するとそのウイルスはずっと体内に残り続ける。
そして血液、飛沫感染等を介し感染を広げていく。
感染爆発を起こした日本、その感染を食い止めるために日本政府が取った手段とは。感染者と非感染者を隔てること。
うーん。面白かったけど。。
まず新型脳炎の発生理由はわからない。
死亡率は高くないが、重度の後遺症が残る可能性が高い。
確かにそれは怖いことかもしれない。
ワクチンや治療薬を開発する前に、政府は感染者と非感染者を接触しないように高い壁で隔ててしまう。
まぁ現実問題こんなことはできないからリアリティはなかったかな。
感染爆発の怖さを描くのではなく、感染者を壁の外側に追いやり、壁の中では通常の生活が普通に営まれている異常さがクローズアップされている。
感染者たちは壁の外側で生活しているが不便さは否めない。
そして家族や愛する人と隔てられてしまった人々。
一部の感染者たちがテロリストとなり、壁の中の人々を脅かす存在になっている。
感染は壁で隔てても隔離することは無理だと思うわ。
そんなものを建設している暇があったら研究にお金を注いだほうが絶対良いはず。
ちょっと状況が異常すぎて最初ついていけなかった。
ゾンビならともかくウイルスは高い壁では防げないやろ…。
まぁそういったことを置いといて。。。
外に追いやられた感染者たちの中からこの状況をなんとかしようとするものが現れてもおかしくはないな。
迫害され続ければ逆らう人は必ず出てくる。
たとえ従順なこの日本でもそうなると思う。
人間に優劣をつけることはいけないことだと誰しも知っている。
それでも差別がなくならないのは、人は自分より劣っているか優れているかを無意識にでも判断し、それによって劣等感だったり優越感を持つ生き物だと思うから。
それを持たないと生きていけない人も多いと思う。
あの人よりマシ、あの人はいいなあの人みたいになりたい、そう考えることで生きていける人もいるし、なんなら誰しも少しは心の中に持っているのではないだろうか。
この小説だと非感染者は感染者を極端に恐れているし、絶対に壁の中に入ってきてほしくない。
ずっと壁の外にいてほしい。
そう考えるのもわかるし、確かに同じ立場になればそう思うのかも。
病気にかかったから迫害されるというのは今のコロナ禍でも最初のうちはそうだったもんな。
それの極端な行動が壁を作る…なのだろうけど。
この小説の大前提である壁で隔てる行為がさ、まずえええ~ないやろ~って思っちゃうからあかんのやろなぁ。
病気に対する予防だったり、根絶に向けての行動だったり、そういうのを期待して読んだものだからすこし評価は落ちてしまうな。
この小説はそういう小説ではないです。
かといって人類みな平等を唱える感じでもないかな。
新型ウイルスの怖さでもない。
人間の怖さ…なんだろうけど、そこもそこまで感じなかった。
だってあんな総理大臣ありえないんだもん!!
いやそれを言えばなんでもありえない!の一言で片付いてしまうけども。
あまりリアリティがなく淡々と読み終えてしまった。
そんな感じでした(どんな感じや)。
コロナ以上に致死率の高いウイルスが発現したら世界は一体どうなるんだろうか。
そこが気になるからこういった感染ものを読み漁っている。
この小説はその部分でいうと期待とは違ってた。
医療小説、新型ウイルスに対する人々の戦い、感染爆発した時の賢明な行動とは…そういうものを期待して読むのはやめたほうが良いという結論で。
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