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本「ライディング・ザ・ブレット」ヒッチハイクしたその車に乗っていたのは… [本]

「ライディング・ザ・ブレット」 著者 スティーブン・キング

★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)

大学生のアランにかかってきた一本の電話。

それはたった一人の家族である母が倒れたという知らせだった。

女手ひとつで育ててくれた母、その母が脳溢血で入院した病院へ急ぐアラン。

車が壊れているためヒッチハイクで遠く離れた母の住む町へと向かう。

しかし彼を乗せてくれた男は…。

 

ライディング・ザ・ブレット

ライディング・ザ・ブレット

  • 出版社/メーカー: アーティストハウス
  • 発売日: 2021/08/18
  • メディア: 単行本

久しぶりのキング。

てかこれ昔読んだな(笑)。

最近同じ本を買ってしまったりそういうの多くなってきた。

全然読まずに積読だからってのもあるけども。

読める本がたくさんあるのってほんっとに幸せで、読んでない本が積みあがってるだけでうれしい。

あ、この小説は短編です。すぐ読めます。

けどさすがキングだわ。実際に自分がこんな目に遭ったら…という気持ちで読める。

恐怖とか不安とか焦燥感とか予感とかそういう言葉にしずらい感情を見事に描く。

 

アランは子供のころから母と二人暮らし。父は幼いころに亡くなっている。

とても貧乏だったが、母が必死に働いて育ててくれた。

奨学金と学費ローンでメイン州立大学に入学したアランは母と離れて暮らすことになる。

そんな時に母が脳溢血で倒れたと知らせがはいる。

車が故障しているためにヒッチハイクで向かうアラン。

 

いやヒッチハイクって怖いやろ。日本ではあまりポピュラーではない。

知らない人を車に乗せることに抵抗あるし。

アランがヒッチハイクした車、運転していたのは…というお話。

車の中でのソレとの会話はなかなかスリリング。

そしてソレから持ち掛けられた選択とは。アランが選んだのは。。。

 

ラストまで読んでしまえば、このヒッチハイクの意味がよくわからなくなるなぁ。

アランにとってこの経験は悪夢だったけれど、そこまで悪いことでもなかったんじゃないかと。

この経験のおかげで母への愛情を再認識したわけだし。

何が言いたかったのかなぁ。恐怖体験ではあるけれどその結果は…。

 

まぁでもヒッチハイクは怖いな。車という密室の中でよく知らない他人と一緒。

しかも決定権は運転している人物にあるからね。

身をゆだねるしかない。こわっつ。

キングはこういう超常現象を生活に持ち込むのがうまいと思う。

 

日常に潜む狂気とか、何かわからない怖いものとか、そういうものはしれ~とそばによってくる。
それに気が付いた人の心理を子細に描くのがもうすごいわ。

人の感情ってさ、文字にしようとすると陳腐な表現でしか表せない、私は。
それを少しの動きだったり、口にする言葉だったり、細かく手に取るように読ませてくれる。
そこがまどろっこしくてキングを嫌いな人もいるんだろうな。

長編だと延々何も起こらず、ただただ主人公たちの心情をことこまかに読まされるだけ。
はよ、何か起これよ!といらっとなることもなくはないw

けれどそんな中にも不穏な空気は確かに流れていて、徐々に徐々にじわじわじわじわ何かが起こる不安感が終始つきまとう。

そして後半、怒涛のように悪との戦いが息もつかせぬ勢いでやってくる。
これがキングの小説の醍醐味なんだよなぁ。

ジェットコースターを思い起こさせるんよ、キングは。
がたんがたんとコースターが上がっていく。
そのうち絶対に落ちるとわかっているから期待と不安と恐怖でボルテージが上がっていく。
そして急降下!!


終わると二度と乗りたくないわという思いと、もう一度あの恐怖感を味わいたいという相反する思いに捕らわれる。
そしてまた性懲りもなく乗るんだよなぁ。

今回の小説は短編だから、そこまでまどろっこしくない。
物語はすぐ佳境に入る。
そして主人公アランの選択の結果を読者はどきどきと待つ。

選択の結果を想像したとおりにはしないとこもキングだな。
そのまんま終わらせないとこがいいわ。

ちなみにタイトルのブレット(Bullet)は遊園地にある昔ながらのジェットコースターのことらしい。
人生なんてジェットコースターに乗っているようなものということか。
落ちたり上がったり、ゆっくり過ぎるかと思えば急展開したり。
私は自分の人生をジェットコースターみたいにはしたくないわ~。
それは小説の中だけで充分です!!!




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