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本「ようこそ、わが家へ」月9ドラマ化!相葉雅紀主演。注意をしただけで異常者に嫌がらせされる?! [本]

ダウン私のお気に入りを載せてます。見に来てねダウン



「ようこそ、わが家へ」
著者 池井戸 潤

★★★★☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

倉田は銀行での出世街道から落ちこぼれ、今は出向先の中小企業で総務部長として働いている。
ある日駅のホームで割り込み乗車を注意したのだが、それから倉田家に対する嫌がらせが始まる。
花壇を荒らされ、瀕死の子猫を放り込まれ、車に傷をつけられる。
そして家には盗聴器まで!
相手をどうやって特定するのか、倉田家は一丸となり戦うことを決意する。
そしてちょうど同じころ、倉田の出向先では不審な在庫不足が見つかり…。
平穏に真面目に暮らしてきた倉田は、仕事先でも家庭でも窮地に追い込まれていく。

半沢直樹作者の池井戸潤著作。
月9でドラマ化。嵐の相葉雅紀主演。

主人公の倉田は貧相な小心者でどこにでもいるようなサラリーマンだ。
出世街道から落ちこぼれ、今では銀行から中小企業へと出向されている身だ。
ある日電車の割り込みを注意したがために、生活が一変する。

注意されたその男が逆恨みして、倉田を家まで追いかけてきたのだ。
なんとか無事に家に逃げ込んだものの、その日から嫌がらせが始まってしまう。

花壇を荒らされて、弱った子猫が郵便ポストに放り込まれる。
まぁ猫を殺されてなくて良かった…。
でもこんな理不尽なことあるだろうか。
元々向こうが悪いのに、ちょっと注意したことで逆恨みされ家まで特定されてしまう。
反対にこちらは相手の素性がまったくわからないまま。

ネットでの匿名性の怖さが現実社会にもじわじわと進出してきているとこの本で書いている。
巨大掲示板で匿名だからこそ書き込まれる悪意。
でもそれは日常生活でも匿名である安心感から悪意を放出する人間だって現れてきてもおかしくはないのだ。

たまたま注意するなんてこと誰にだってある。
並んでいるのに割り込まれる事なんてしょっちゅう。
それに注意するのかどうか…。
確かに強盗でも窃盗でも命を奪われなかっただけ良しとし、犯人を追いかけてはいけないとされる。
刺されたりして殺される可能性があるからだ。

ほんのちょっとした勇気が自分を悪意の的にしてしまうなんて。
悪事を目にしても決して関わってはいけない…という嫌な世界になったわけだ。


この小説の主人公は、言いたいことも言えず、小心者で、相手から頭ごなしに言われると何も言い返せないほどのヨワヨワ。
でも彼には味方がいる。
娘と息子、そして妻。
会社では茶髪でシングルマザーの部下。
彼らのおかげで、倉田はなんとか強く相手に立ち向かう勇気を貰える。

周囲の力があってこその頑張りだと思う。

なんか私だったら泣き寝入りしそうな。
仕事にしたって、営業部長にたてついてまで不審を暴こうとは思わないもん。
自宅に対する嫌がらせにしたって、警察に相手にされなければきっと諦めてしまうかも。

今まで平凡に地味に暮らしてきた倉田は、家族を守るため、出向先の企業を守るため、弱弱しいながらも戦っていく。
そこがものすごく共感できる。
彼は決してヒーローでもないし、頭が切れるわけでもないし、勇気があるわけでもない。
それでもこつこつ地味に犯人を追いつめていく。

結果、少々のどんでん返しもありぃの、会社でも不正の営業部長をやっつけぇの、と胸のすく思いができる。
決して半沢直樹のように冷静沈着さがあったわけでもないのに。

自分がこうなった時に一体どうするだろうか。
そういうことを考えながら読むのもいいし、匿名の怖さを知るのもいい。
いつ自分が理不尽な悪意に晒されることになるやもしれない現代で、この小説は地道に立ちむかう姿を教えてくれる。

プライベートでも仕事でも敵がいるって、よくストレスでやられないなぁ…というほどの窮地ではあるけど、彼には味方がいて、力を借りることができたからこそ頑張れたんだろうな。
そして頑張る人には助ける人も出てくるということかな。

とにかく一気読みでした。
超おすすめ!


ルナ126.jpg

相手がわからないっていうのは怖いにゃぁ。

【本映画過去記事】
本「魔力の女」不倫する男性に捧げる…果たして正体は死んだ元恋人なのか否か…。
漫画「デトロイト・メタル・シティ」デスメタルのキング、クラウザーの正体…それはPOPSをこよなく愛する地味な根岸だった
映画「フリー・ウィリー」孤独な少年と家族から引き離されたシャチの友情の行方は

 




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コメント 4

mitsuya

やや、粗筋聞いたらとても気になりましたよ。すごい面白そうじゃないですか(^_^) ドラマの方は視聴率伸び悩んで散々だって聞いてたんですけど、原作はしっかりしてたんですね。やっぱりフジテレビだからか、相葉くんカワイソ(¯―¯٥)
by mitsuya (2015-06-02 09:26) 

youyou_s

>mitsuyaさん 原作は面白いですよ!ドラマ視聴率よくないんですかぁ。それは…相葉くん可哀相だな。
匿名性に隠れた悪意というものがひしひしと感じられる良い小説でした^^
by youyou_s (2015-06-02 16:35) 

ojioji

久し振りにおじゃましました。
「ようこそ、わが家へ」のタイトルが目に入りまして。
去年からテレビドラマ視聴修行中^^;で、このドラマ、完走しました。ぼくは毎回、ハラハラわくわく、ときどきスカッとしながら、とても楽しめました。
相葉くん、好演でした。エリカ様も、棒ではなくて演技だと思えるようになりました。南果歩さんの演技がYahoo!の感想欄で批判されていたのですが、ぼくは大好き。寺尾聡さんステキ。あと、堀内敬子さん流石。えっと、有村架純ちゃん旬の良さ。山口紗弥加さん、この番組でファンになりました。
などとすんません、書き逃げです。
原作、youyou_sさまの目を信用しているので読むことにします。いちばん最近の小説「後妻業」を読破するのにひと月^_^;、脳猫化症のため、あんなに楽しかった読書が苦行になっているのです。
by ojioji (2015-06-30 12:57) 

youyou_s

>ojiojiさん おお!ドラマはなかなか豪華俳優陣だったんですねぇ。それは見ごたえあったかも…。ドラマは見逃しちゃいましたけど、原作も面白かったですよ。読みやすかったし、はらはらしました。冴えない中年男性が主役というのも良かったです^^相葉くんは息子の役なのかな?たぶんそうですよね。
脳猫化症は…。。。にゃんこの飼い主だとかかりやすい病気ですよね。私も気をつけます…(笑)
by youyou_s (2015-06-30 14:45) 

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