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本「感染捜査 黄血島決戦」ゾンビもろとも沈めた客船を引き上げる [本]

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本「感染捜査 黄血島決戦」 著者 吉川 英梨

★★★★☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)

ゾンビウイルスに侵された人々を乗せた豪華客船。
それはゾンビもろとも海の中に沈められた。
ウイルス蔓延の原因を作ってしまった女性刑事と海上保安官はその罪の意識の中で生きていた。
そして一年半後、その客船を引き上げるプロジェクトに参加することになる。

感染捜査 黄血島決戦

感染捜査 黄血島決戦

  • 作者: 吉川 英梨
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/11/24
  • メディア: Kindle版

「感染捜査」の第二弾。
ウイルスを作り出す原因を作ってしまった女性刑事、天城由羽は今でも悪夢に苛まれていた。
一年半前、オリンピックを控えた日本は、ゾンビウイルスに感染したものを豪華客船に閉じ込め封鎖することにしたのだが、結果客船の中でパンデミックが起こり900名以上の死者を出してしまった。
豪華客船は由羽と、もう一人ウイルス蔓延の原因を作り出してしまった海上保安官の来栖とともに爆破させ海に沈めた。
その船を引き上げることになる。

もうね、前巻はほんとすさまじかった。
まるで映画を観ているような展開。
ヒロインの由羽も来栖もキャラクターがしっかり書き込まれていて荒唐無稽な展開であってもリアリティの感じられるお話になってた。
ゾンビとの死闘もすごかったし、なにより脇役までしっかり作りこまれてて、その死に対し胸が苦しくなるくらいだったわ。

その第二弾が本書。
船を沈めてゾンビを一掃したわけだからどうやって続きを書くのかと思ってたら。
その船を引き上げるプロジェクトが始まる。
大勢の遺骨がその船の中にそのままになっているのは確かに問題になるのかもしれないね。
そのプロジェクトに由羽や来栖が関わることになる。
その理由は、船の中に一人のゾンビが生き残っていたから。
そのままにしておくといずれ外に出てきて、再びゾンビウイルスの脅威が襲ってくることになる。
そこから船の引き上げに関することが結構たくさん書かれているのだけど、こんな大変なことだったんだと初めて知った。
沈没船を引き上げるということには大金がかかるんやねぇ。
海中で作業する色々な方法も興味深かった。

ゾンビがなぜ海中で生き残っていたのか。
それは洗濯槽の中に閉じ込められていたから。
海中に下した探索カメラに映し出されたのだ。
そのまま引き上げたのでは、再びウイルスが広がる恐れがあった。
そこで由羽たちが船の引き上げに立ち会いゾンビから船員たちを守ることになる。
それだけではなくて、ゾンビになったものは警察官でその家族がいる以上、勝手に殺したりはできないということ。
ゾンビになった父親に会うという家族も引き上げ船に乗り込む。

いやこれ無理やろ、どう考えても。
優しかった父親が怪物に変わってる。
しかも、体は腐り果てていて面影すらわかるかどうか。
よく会うっていうなぁ。この奥さん。
一年半も海の中にいたんだから、これはもう生きてはいない状態とわかるだろうに。

あと、由羽と来栖の背負った罪悪感の重さにも押しつぶされそうになる。
自分のせいで900人以上の人が亡くなった。
しかも自分の手で殺した人たちも数多い。
けれど、二人ともその罪の重さを抱えゾンビを撲滅することに命をかける。
生き残ったことにも罪悪感があるというのはきつすぎるね。

今回船が引き上げられる場所の近くに黄血島がある。
住人はいないけれど、自衛隊が駐留している。
米軍も訓練のため使っている島だ。
戦争中にここで日本軍と米軍が闘い、この島でたくさんの日本兵が亡くなっているという島だ。

物語の半分が引き上げに関わるお話で、由羽と父親の葛藤も描かれている。
まぁこの時点で嫌な予感しかしなかったけどね。。。
ゾンビが一人だけなので今回は大した戦いはないんだろうかと思ってたら…。

しっかりあります。
後半、怒涛のような戦いのシーンが。
引き上げたゾンビのせいではないです。
じつは由羽の父親が…。。。。。
いや、これは読んでもらった方がいいのでネタバレしないでおきます。
意外な展開でびっくり。
とにかく読んでる間中、どきどきはらはらします。
そして親子の話に泣けてきます。
由羽親子だけじゃなくて、ゾンビになった父親を持つ少年を待つ過酷な出来事にも。
ええ~こんなんやめてほしい…と思ってしまった。。。

色んな事がリアルだな~と思ってしまう。
例えば島には自衛隊がいるんだけど、彼等はゾンビに対し銃器の使用ができない。
自国民を自衛隊が撃つことはできないし、彼等は兵士ではないから。
そういう縛りとか、政府の対応とか、なんかめっちゃリアルに感じる。
実際こんなことが起きてもこうなるんだろうな…と思える展開。
イライラするけど政府があっさり、ゾンビ?殺していいよ、自衛隊も出動してね、となるほうが真実味がない気がする。

また第三弾あるといいな。
でもきっと来栖にも由羽にも安寧の日々は訪れないんだろうな。
死ぬまで罪悪感と共に生きていく。
新しい形のヒーローでありヒロインだな~と思う。
とにかく面白い小説です。
映画みたい。
臨場感あふれえるエンターテイメント小説。
ゾンビ好きには絶対読んで欲しいし、そうでない方にも!!!!!

感染捜査黄血島.jpg

感染捜査

感染捜査

  • 作者: 吉川 英梨
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/05/25
  • メディア: Kindle版


タグ:ゾンビ
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