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映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」目玉おやじの過去と鬼太郎誕生を描く [映画]

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映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」 2023年日本映画105

★★★★☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

監督 古賀豪
原作 水木しげる
出演者 関俊彦【鬼太郎父】 木内秀信【水木】

昭和31年。戦争を経験し傷心のまま血液銀行に勤める水木。
経済界を牛耳るとされる龍賀一族の長が亡くなりその後継ぎを見届けることを理由に水木はある村を訪れる。
その村は龍賀一族が支配する村であり後継ぎを巡り醜い争いが起こっていた。
そして遺言状が読み上げられ次の後継ぎが決まるがすぐに何ものかに惨殺されてしまう。

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漫画家水木しげる生誕100周年を記念して作られた映画。
ゲゲゲの鬼太郎の元となる最初の漫画「墓場の鬼太郎」ベースになる。
鬼太郎の親父がまだ目玉おやじになる前のお話。

水木が訪れた村に鬼太郎の親父が妻を探してやってくる。
そこで水木と親しくなり自分が絶滅寸前の幽霊族であることも打ち明ける。

龍賀一族が富をなしたのはMと呼ばれる秘薬を作っていたため。
だがその製法は社長ですら知らない。
後継ぎが殺され次の後継ぎはまだ幼い男の子になるのだが、一族のものが次々と惨殺されてしまう。
これは呪いのせいか妖怪のせいなのか…。

鬼太郎誕生.jpg

 

鬼太郎の親父はなかなかにイケメン。
まぁ水木とのBLがえらく盛り上がり腐女子オタクたちがこぞって何回も観たというのもわかるわ。
BL要素はまったくない映画だけどもね。
こんな血まみれの映画でもBLを見出すオタクたちの慧眼に驚いた、まず。
鬼太郎父も水木もイケボなので見出しちゃうのもわかるのは私がオタクだからですか。

しかし殺され方も残虐だし薬の製法やら色々テレビの鬼太郎を期待して観に行くとびっくりするんちゃうやろか。
内容も悲惨としか。

以前、舞台「ゲゲゲの鬼太郎:荒牧慶彦主演」を観に行ったことがあるのだけれど、あの舞台の前日譚だったんだな~と納得。
舞台では水木が鬼太郎の両親と知り合いその死後鬼太郎を育てるのだけど、親父もボロボロの姿だったし母親も死が近かった。
この映画でその理由がわかったわ。
そして映画の最後で水木が記憶をなくしていたこともわかった。
だからあの舞台に繋がるわけか~と腑に落ちたわ。

戦争を経験し人間不信に陥っていた水木は力を持たなければ何もできないのだと信じ出世したいと望んでいた。
自ら志願し、龍賀一族の村へと行ったのもそのため。
そこで、一族のさよという娘と知り合うのだけどあまり感情を動かされない感じ。
それも戦争の後遺症なんだろうね。
この、さよ…がまた不憫なんだけどさ。

ただただ幽霊族が可哀そうでもある。
人間に住処を追いやられ絶滅寸前まで追い込まれる。
力も強いし寿命も長いから人間に対抗しようとすればできそうなもんやけどね。
妖怪も味方につければさ。
でもそれはしない。
決して人間の味方でもないけど敵でもないんやろな。
運命を受け入れるというか。

あまり皆が幸せにならない感じだけど、鬼太郎は少なくとも水木の愛情を受けて育つ。
だから人間の味方になってくれるんやね。
人間に敵対する妖怪を倒してくれるもんな。

ゲゲゲの鬼太郎と同じ時期かどうかわからんけど、「妖怪人間ベム」というアニメがあった。
あれも自らは人間ではないんだけど人間に味方してくれるものたちだった。
時代なのかわからないけど、根底に悲しみが流れているアニメが多かった気がするな。
暗くどろどろした背景があり殺される人間にも悪い妖怪にもどこか哀しみを感じる。

今回の映画良かったわ。
妖怪と人間の戦いを描く…というのではなかった。
どちらかというと人間の汚さ、どこまでも醜く非道になれるのは人間だからかもしれないというものを突き付けられた気がする。
半面水木というあきらめずに鬼太郎の父を助けようとするものもいたのだけどね。
妖怪以上に非道で残虐なのは人間だった…という。
そういう人間を根絶やしにせず助けようとする鬼太郎。
人間の可能性や善を信じているのだろうな。

鬼太郎というだけで子供向けと思ってしまうかもしれないけどこれは大人向けです。
鬼太郎世代(昭和の鬼太郎)は観て損はないと思う。
戦後必死に生きようとし財をなすものもいれば貧困のままのものもいただろう。
それでも皆が本当に一生懸命生きようとしていた時代が戦後なんだろう。
そのおかげで日本は復興したし多大な恩恵を受けていると言える。

まぁそんなことも考えてしまうくらい色々詰め込まれた映画でした。

 


タグ:鬼太郎
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