本「魔眼の匣の殺人」あと二日で四人死ぬ…不吉な予言は成就するのか… [本]
「魔眼の匣の殺人」 著者 今村昌弘
★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)
屍人荘の殺人シリーズ第二弾。
夏の災厄の首謀者である斑目機関の謎を解くため剣崎比留子と葉村譲は山村に向かう。
そこでは班目機関がかつて超能力実験を行っていたという施設があるという。
たまたまあった数人の来訪者とともに施設に到着したのだが、唯一の交通経路である橋を燃やされ脱出手段がなくなってしまう。
その施設にいた予言者と恐れられる老女は、二日の間に四人死ぬ…と予言する。
生き残りをかけた謎を比留子と葉村は解くことができるのか?!
今度は超能力(未来予知)のお話。
100%当たるという老女の予言。「二日の間に四人死ぬ」そしてその言葉通り、一人が土砂崩れで亡くなってしまう。
あと三人…生き残るのは誰なのかというミステリー。
いろんな伏線がちりばめられていて、私は全く気が付かず読み進めていた。
なので、犯人がわからず????ばっかり。
ミステリーを楽しめるのは私のようなにぶい人間なのかもしれんね。
前作に引き続き今回もクローズドサークルになる。
村に続く唯一の通り道である橋を燃やされ、施設に閉じこもるしかなくなる。
周囲は山や滝に囲まれ橋を渡るしか出るすべがない。
つまり犯人はこの数人の中にいるのだ。
なのにそれがわからない。私には。
この人かな?と思うことはあれど、いちいちそれを覆される。
そして犯人がわかったあと、過去の発言だったり事件だったり都市伝説だったり全てが犯行理由としてつながっていく。
すごいなぁ。ほんとに。
無駄がない。
一見、なんの理由もなく偶然に集まったかのような登場人物たち。
けれどそこには必然が…。
老女の正体にも驚かされたり、え?この人が死ぬの?みたいな被害者がいたり。
なんかいちいちえ?え?と驚かされることばっかりだったな。
シリーズ第一弾の屍人荘の殺人でも、え?死ぬの?嘘やん死んじゃうの?って人が亡くなったし、今回もそう。
わりに作者は容赦なし!
今回被害者となる人もかわいそうすぎるんだけど、シリーズ1で亡くなった人もね。未だに勿体なかったなぁと思う。魅力的な人物だったから。
そこをあえて切り捨てる作者さんすごすぎ。
こういう事件を引き寄せてしまう体質だという比留子にほんとに同情してしまう。
最初は相棒(ワトソン)として葉村をそばに置こうとした比留子。
けれどそれは危険を伴うことになる。そこで比留子は一人で班目機関を調べようとする。
葉村がそれを黙ってみているわけがない…ということで二人で行動することに。
けれど比留子の考えもわかるわ。
自分のせいで事件に巻き込まれ、そこで死亡された日にゃもう耐えられないよな。
葉村もそれはわかっているのだけれど、自分の身を守るよりもどうしても比留子を守ることに力を入れてしまう。
命を預ける相手としては葉村はちと頼りない気がするんだけど、どうして比留子は彼を選んだのか…。おいおいわかってくるのかな。。。
ただ彼が大学のミステリー愛好会に入っていてワトソンの役割をしていたから…だけではないよなぁ。
今回の事件には予知能力者がかかわってくる。
班目機関が昔携わっていた実験。
その被験者が予言者とおぼしき老女。
彼女から機関のことを聞き出そうとするのだが、実験が放棄されたあと老女は機関とはつながっていなかったらしい。
100%当たる予言って怖いよな。
しかもそれが起こるってわかっているのに絶対に防げない。
運命は変えられないってことか。
なら、予言は必要なことなのかって疑問が出てくるよね。
明日死ぬとわかる。でもそれはどうやっても防げない。
それなら知りたくないかも。
登場人物は11人。その中で一人はわりにすぐ死亡。
なので10人の中に犯人がいる。
シリーズ1でもそうだったけど、少ない人数の中に犯人がいる設定って難しいだろうなぁ。
しかもクローズドサークルだから外部から犯人が…というのはないわけだし。
なのに犯人が私にはわからなかった。
私があほすぎるのか、作者さんがすごすぎるのか…わからないけど。
後者だと思いたい。
王道ミステリーに近いのかな?今回は。
予知能力者は出てくるけども。
殺人を犯す理由が弱いと一瞬思ったけど、ラスト近く犯人の過去がわかるとさもありなんと思わされた。そこも上手いと思ったわ。
シリーズ第一弾からぜひ読んでほしい。
ミステリー好きにもホラー好きにもいいんじゃないかな。
私は閉じ込められ系が大好きなので今回も楽しかった!
なのになぜ★3かというと、犯人がわからなかったのが悔しいからです!!
コメント 0