映画「リプリー」マット・デイモン主演。上流階級の放蕩息子に憧れた下層階級の青年の運命とは… [映画]
「リプリー」1999年アメリカ映画140分
★★★☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
監督 アンソニー・ミンゲラ
出演者 マット・デイモン(リプリー) グウィネス・パルトロー(マージ) ジュード・ロウ(ディッキー) ケイト・ブランシェット
トム・リプリーはホテルで働く下層階級の青年。
だがある日出身校を偽ったことで、大富豪から、イタリアで遊んでいる放蕩息子を連れ戻してほしいと依頼される。
その父親から大金を貰いイタリアに渡ったトムは、大富豪の息子、ディッキーに対しても同級生だと偽り近づく。
派手な生活、女性に対しても奔放なディッキーと一緒にいるうち、彼の魅力に魅入られるトム。
しかしディッキーにとっては、トムはただ目新しかっただけの退屈な存在だった。
ディッキーの本音を知ったトムは思わず彼を殺してしまう…。
パトリシア・ハイスミス原作。
昔、太陽がいっぱい(アラン・ドロン主演)として映画化されている。
【ネタバレあり】
マット・デイモン演じるトム・リプリーがもう、可哀想でそれでいて気持ちがわかるわ~な感じで、感情移入。
ジュード・ロウ演じる金持ちの放蕩息子を連れ戻すという役目を負ってイタリアへ。
そして彼の奔放な生活を一緒に経験するうちに徐々に彼の魅力に取りつかれていく。
そりゃ、今まで働いても貧乏で憧れのオペラすら観に行けなかった青年が、いきなり大富豪の生活を知ることになったんやからね。
知らなかった世界、触れることのなかった生活を経験したら、元の生活には戻れないよね。
ディッキーの金持ち友達がまた、ねちねちねちねちトムをいびる。
お金貰って、ディッキーと一緒に生活して、一緒に遊んで、それらはすべてディッキーのお金で。
うらやましいと、俺が変わりたいとあてこすりを言う。
お金持ち仲間からすればバカにする対象なんだろう。
それでもトムはディッキーのそばを離れない。
プライドがないのかと思ったけど、そうじゃないんやね。
トムはディッキーを愛してて(同性愛)、ディッキーも自分を好きでいてくれると信じてる。
超絶イケメンで、女性と次々遊んで、お金たっぷりで、遊びをいっぱい知ってて。
それを身近で見てたらまるで自分までお金持ちになった気になっちゃうやろな。
そういう憧れの相手が、自分を好きでいてくれるのだと思い込めたら、それは幸せやろね。
でも、ディッキーの友人からバカにされ、ディッキー本人からも時折冷たい目で見られていることをトムは気づかない。
そういうところでもう胸が痛くなったわ。
ところが、二人でボートに乗っているときに、ディッキーから疎まれていることを聞かされるトム。
お前といても退屈だと言われ思わず彼を殺してしまう。
愛してたゆえに憎しみが大きかったんやろな。
そして、そのあと、トムは自分がディッキーに成りすますことを思いつく。
彼のお金を自由に使い、買い物三昧で富豪の生活を楽しむが、ディッキーの友人に怪しまれ殺してしまう。
一度嘘をつくとその嘘を守るためにまた嘘を重ねることになってしまう。
一度殺して、今度は自分を守るためにまた殺人を犯す。
どんどん深みにはまっていくトム。
ディッキーの恋人にも疑われ始める。
この辺からもう、じっと観てられないくらいどきどきはらはらの連続。
トムは悪者なんだけど、この犯罪がどうかばれませんように…と思わず祈ってしまう。
お金のある生活に憧れそれを手に入れたいと思う彼の気持ちがわかってしまうからかなぁ。
次から次へとばれそうになる連続で、しかも二度目の殺人で疑われたりするし、もう私の一番苦手なシーンの連続。
トムは自分がディッキーだと偽っていて、少しも罪悪感を持ってないように見えた。
最初はディッキーに憧れ愛しているように思ってたんだろうけど、実際はトムが愛していたのは彼の財力なんだと思う。
だから、彼を殺しても悲しみにくれることなく、ディッキーになりかわったんだろうし。
ディッキーが失踪したように見せかけ、偽の遺書を作り、完全犯罪を成し遂げたトム。
しかし、ディッキーの恋人だったマージは、トムを疑う。
富豪の父親も息子が行方不明とわかり、イタリアに来るのだが、トムが犯人だとは言わずディッキーの代わりにトムに仕送りをする…と告げる。
トムの狙い通りになるのだったが、ディッキーと偽って生活していたつけがやがてやってくる。
でもこの映画ではラスト、ぷっつり終わってしまって、結末がわからない。
結局トムはずっと逃げおおせるのだろうか。
あのラストではよくわからない。
でもトムはもう引き返せないところまで来てしまっている。
彼は結局誰を一番愛していたのか。
彼が愛していたのは自分自身とお金、贅沢な生活なんだろうな。
それを守るためなら人を殺せる。
マット・デイモンがはまり役だったと思う。
頭は良くて機転もきくけど、純粋で人を信じてて、小心ゆえに嘘を重ねる。
贅沢な生活を手放すことができなくなっているがゆえの嘘であり人殺しでもある。
野心家ってわけでもなく、ただただ泥沼にはまっていく哀れな青年。
マット・デイモンの弱々しい笑顔が思わず彼の犯罪がばれませんようにと思ってしまう一因かも。
またお金持ちで派手な生活、女性をとっかえひっかえのお坊ちゃまを演じるジュード・ロウもはまり役。
あれこれ女性に手を出すも、結局は一人の女性を一番愛してて結婚しようと思っている。
そういう点すらトムは理解できていなかった。
心が通い合ったと思っても所詮上流階級の人間の気持ちや考えはまったく違うのだってことやろかね。
トムがついた同級生だという嘘すら、ディッキーは気が付いていた。
同じ階級の人間かどうか…そういうのもわかるんやろね。
うっすらトムはバカにされていたんだけど、それには気が付かないふりをしていたトム。
あまりにも富豪の生活に魅入られていたから。
なんだか、すっごくトム(マット・デイモン)に共感し、わかるわ~と思ってしまう自分がいや。
でもお金持ちの友達にたかって、その人のお金で遊びまわったり、高級ホテルに泊まったりとかはいやだけど。
それは友達じゃないと思ってしまうもんな。
だからこそ、トムは彼が自分を好きなのだと思い込もうとしたんだろうね。
お金に魅入られてしまったが故の悲劇がこの映画だと思う。
そして人間の弱さ、もろさもかな。
嘘は嘘を呼び、どんどん深みにはまっていく怖さとか。
平凡で普通の青年が恐ろしい犯罪に手を染めてしまう過程とか。
ありえないことじゃないし、それだからこそ悲哀が漂う。
貧乏人とお金持ちが友人になれないわけじゃない。
でも、お互いが尊重しあって、対等じゃなければ友情は成立しえないんだと思う。
なんかすっごく重くて哀しい惨めで哀れな思いを抱く観た後ちょっとどよーんとしてしまう映画でしたな。
でも役柄がそれぞれ合ってたし、出演女優も豪華で、ファッションとか風景とか豪華な家とか、見ごたえもありました。
なんで★三つかと言うと、ばれないかとどきどきはらはらする映画は苦手だからです(きっぱり)
嘘ついたってどうせバレるにゃ
【本映画過去記事】
☆映画「Returner リターナー」未来からやってきた少女と共に人類滅亡を阻止する裏稼業の男…
☆映画「SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ」全編英語の和製マカロニウエスタン。三池崇史監督作。豪華出演陣が見ごたえあり。
☆映画「幸せの教室」トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ豪華共演。リストラされた男が大学に入りそこで運命の出会いが。
この映画のマット・デイモンは
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ごぶさたしております!遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします!
同じ映画ブロガー?として今年もマッタリやりましょ(^o^)
パトリシア・ハイスミス原作の映画「キャロル」の公開がありますね!
日記を見て、リプリーを見直したくなりました笑
by フォレスト (2016-01-15 05:19)
>フォレストさん こちらこそよろしくお願いいたします^^
今年もいっぱい映画を観れたらいいな~と思っています。コメントありがとうございます!!!!
by youyou_s (2016-01-15 08:32)