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本「その女アレックス」それは女性誘拐事件から始まった…。謎に満ちた女アレックスとは。 [本]

ダウン私のお気に入りを載せてます。見に来てねダウン



「その女アレックス」
著者 ピエール・ルメートル

★★★★☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

女性が誘拐された。
しかし容疑者も被害者も身元がまったくわからない。
誘拐された女性アレックスは小さな檻の中に全裸で閉じ込められていた。
誘拐した男の目的はアレックスが死ぬところを見ること。
一体なぜ。
しかしアレックスは死ぬわけにはいかなかった。
彼女にはある生涯を賭けた計画があったからだ。
アレックスの驚愕すべき正体、そして壮絶な過去とは…。


その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/28
  • メディア: Kindle版

 

 

まずアレックスという女性が見知らぬ男に拉致監禁されるところから物語は始まる。
小さな木の檻の中に全裸で閉じ込められ、身動きすらできない状態。
当然そのような固定された姿勢で長時間いることは精神に異常を及ぼす。
瀕死の状態になるアレックス。
しかしその頃警察はまだ彼女の身元も犯人の手掛かりすら掴めていなかった。

しょっぱなから、手に汗握る展開。
ウィッグや洋服を試着したり買ったりするのが好きな女性アレックス。
食事の帰り突然白いバンに連れ込まれ拉致される。
一体なぜ自分が攫われたのかわからず、ただ恐怖するアレックス。

彼女は服を脱がされ小さな檻に閉じ込められる。
身動きもできない小さな檻に。
姿勢を変えることもできないし、横になって眠ることもできない。
そのうち筋肉はこわばり痙攣する。
ぞっとする展開。

けれどようやく警察は白いバンから容疑者を割り出す。
ところがなんと容疑者は自らトラックに轢かれ死んでしまう。
女性の居場所も告げずに。

もうこの辺りで、警察の焦燥感がこちらにまで移り早く早くと気が急きながら読み進めることになる。
早くしないとアレックスはもう限界で、しかも檻の周囲には彼女の死を願ったねずみたちが群がり始めている。
必死で居場所を探す警察。
なんとか脱出しようとするアレックス。

物語は捜査する警察とアレックスの二つの視点から交互に語られる。
ようやく警察が居場所を突き止め救出に向かうが、そこには壊れた檻があるだけで囚われたはずの女性は姿を消していた。

ここまでが第一部。
女性の拉致監禁事件は導入でしかなかった。

第二部では行方をくらました被害者の女性を探す警察。
そして女性を追うにつれて判明していく恐ろしい事実。

目が離せない展開とはこういう事を言うのかもしれない。
最初は拉致監禁された可哀相な女性…という目で見ていたアレックス。
しかし徐々にいろんなことが判明するにつれ、今度は、なんて恐ろしい女なんだと恐怖することになる。

男や女を殴り気絶させ、のどに硫酸を流し込み殺す連続殺人犯、それがアレックスだったのだ。

次々殺人に手を染めるアレックス。
しかも平然と殺す。
罪悪感も嫌悪感もなく淡々と残虐な殺しを重ねる。

物語当初からアレックスへの気持ちの変化はめまぐるしく変わっていく。
ただの誘拐事件物語じゃなかった。

読み進むにつれてアレックスがわからなくなり、そしてさらに驚愕のラストへと話は続いていく。

全貌がわかった時、本の帯に書かれていた「慟哭」の意味がわかってくる。

すべて凄まじい犯罪であり、また痛ましく再びアレックスへの思いが変化する。
ここまで一人の女性に振り回されるミステリー小説があっただろうか。
事件を追う刑事カミーユにも哀しい過去があり、なかなか断ち切れないでいるのだが、アレックスの事件を扱ううちに過去との決別をするようになる。

カミーユと個性的なその部下たちの交流や、上司とのやりとり、コミカルなシーンもあったりする。
決して凄惨で暗く救いのない物語ではない。
最後はほんわり温かい気持ちになり、そして悪に鉄槌が下されることに安堵し、痛ましい人生を過ごした一人の少女に涙することになる。
部下の一人、ドケチのアルマンがカミーユに対してサプライズプレゼントをするのも微笑ましい。

主人公アレックスの印象が逆転に次ぐ逆転で、驚かされ感動させられ納得させられ、気持ちが強く揺さぶられる。
事件は途中で止められないほどの展開を見せる。
捜査する刑事カミーユたちの愛すべき性格も魅力的だし、事件を解明していく手段や彼らの思いや言動にも目を離せなくなること間違いなし。

残虐な事件が次々起こるので、好き嫌いがあるかもしれんけどこれはくるくる変化する事件に心奪われてしまうと思う。
これはなかなかすごい小説でした。
展開の予想ができないし、ラストまで一気読み間違いないです。
さすがこのミステリーがすごい!第一位になっただけのことはあります。

時間を取って読み始めてください。
たぶん途中で止められないと思います。

ルナ130.jpg

わたちの「ご飯ください」目線も無視して読んでたにゃ…

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コメント 2

mitsuya

Youさん書評上手すぎです(*^^*) ワタクシ閉所恐怖症のところがあってこの小説敬遠してたんですけどそこは導入部だったんですね(*^^*) よっしゃ今度読んでみます!
by mitsuya (2015-06-24 06:58) 

youyou_s

>miysuyaさん そう閉所恐怖症につらいのは最初の部分ですかね。相当きついですけど…。でもそこから二転三転しますから、めっちゃ面白いです!!ぜひ読んでください!
by youyou_s (2015-06-24 08:26) 

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