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映画「少年H」激動の時代を生きた少年H(はじめ)…妹尾河童自伝的小説映画化 [映画]

「少年H」2012年日本映画

★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

監督 降旗康男

出演者 水谷豊 伊藤蘭 吉岡竜輝  花田優里音

妹尾河童の自伝的小説の映画化。
昭和初期の神戸。洋服の仕立て職人の父と、キリスト教徒の母に育てられた肇(はじめ)。
イニシャルのHをセーターに縫いつけられたことでついたあだ名はH(エッチ)。
徐々に時代は戦争へと向かい、外国人のスーツを仕立てていた父はスパイ容疑で取り調べられたり、進学した中学校では軍事訓練が行われていた。
戦前、戦後の神戸を舞台に一人の少年の目を通して、戦争が落とした影に負けず生きる家族を描く。

もっと戦争戦争した映画かと思っていましたが。
戦争の怖さを前面に押し出したのではなく、戦前戦後と経験した少年がその理不尽さを感じ、純真な少年時代を卒業する成長物語なのかなと。
妹尾河童さんの自伝的小説の映画化らしいですが、ちょっとご両親のあまりの完璧さにちょっと人間臭さを感じられず作り物っぽくなったのは残念。
あまりに出来すぎの両親だからね。
ただ妹尾さんがそういうふうに両親を見ていたのであれば、やはり立派な方々だったのだろうな。
子供に対して真摯に向き合って育てておられたのだろうなぁ。
戦争後、少し弱さを見せた父親に対し、母親はあくまで一本筋の通った人だった。
自らも貧しいのに白米を分け与える精神はすごい。
信仰心が篤い人というのはこういうときもぶれないんだろうな。
この映画は終始少年はじめの視点で描かれるから、戦争の矛盾や理不尽さがよく表れているのだろう。
戦争中は非国民と言われた行為が、戦争後はみんなこぞってアメリカをもてはやす様子に憤懣やるかたないH。
新聞はいつも事実だけを述べるわけではない…と疑うことを教えられた少年は、その正義感を押さえることを覚えなければならなくなる。
父親は冷静で家族に対し、今は我慢する必要があると淡々と述べる。
だからこそ少年は理解できたんだろうし、無理やりではなく今はそういう時代だから…という理由で理不尽さを受け入れざるを得なくもなる。
この映画では一家族を描いて戦争の理不尽さを伝えたかったのだろうか。
それにしてはあまりに両親が綺麗に描かれすぎている気がする。
もっと人間くさくしても良かったんじゃ…。
あ、でも本当にこういう方々やったんかもしれんし。

昔は中学校を卒業したら一人前で自立する人が多かったんだね。
すごいな。
大人になるのが早かった。
それを思うと今は子供時代が長い気がする。
就職しても実家にいて”子供”を満喫してた私からすると信じられないけども。
結婚してもまだ実家に依存してるもんなぁ。
本当の意味での自立ってできてない気がする…。

戦争映画を多く観てきたけど、この映画はあまり感じるものはなかったかも(辛口)。
少年が体験した戦争という意味では面白かったし、わけもわからず戦争に突入し、今まで良かったことがだめになり、上官にとことんしごかれ、天皇のために死ね!と言われ覚悟が出来たのか出来てないのかわからないまま戦争に負ける。
一体なんだったんだ!という思いを持つのは当たり前。
それを口に出すことはできなかっただろうけどね。

感動するシーンは特になく、ただ全員生き延びられて本当に良かった…という感想。
戦争になれば普段時計屋だったり質屋だったりする普通の人々が軍服を着て人を殺すようになる。
こういう映画を観ると思うのはやはり日本はあくまで戦争放棄する国でいて欲しいということ。

戦争はしない!それでいいのに、日本を戦争のできる国にしようとする政治家がいる。
いつの時代も戦争で儲けたり甘い汁を吸う一部の人間がいて、それが国同士を戦わせたりする。
そして実際に殺したり殺されたりするのは国民なのだ。
もし今日本が戦争に加担し、兵士として戦場へ行けと言われ、ほんとに行く人たちはどのくらいいるのだろう。
それでもまだ日本人は抗議もせず唯々諾々と国に従うのだろうか。
私たちに拒否権は与えられるのだろうか。
戦時中のような軍事国家になるとしたら選択権はないはず。
なんて怖いことだろう。
大人しい日本人はその時どうするのだろう、どうなるのだろう。

願わくばそれは私が生きているうちに起こりませんように、と祈るしかない。

あれ?あまり映画に触れていない感じやけど。
古い町並みとか、空襲の焼け跡とか、なかなか良かったです。
少年Hの妹も可愛かったです。
水谷豊と伊藤蘭の実際の夫婦による夫婦はすごく自然でこれも良かった。
良かった部分も多々ある映画ですが、感動したかと言われたらノーと言わざるを得ないです…。

ルナ104.jpg

人間同士が殺し合うにゃんて意味わからにゃい

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